企業経営理論【23】資源依存モデル、取引コストアプローチ

1回「20分」で、中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。

今回は「資源依存モデル、取引コストアプローチ」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。

出題範囲との関係

【経営戦略論】

【組織論】

経営組織の形態と構造
・経営組織の運営
・人的資源管理
・労働関連法規

【マーケティング】

今回の学習キーワード

  • 資源依存モデル
  • 取引コストアプローチ
  • 関係特殊的投資
目次

資源依存モデル

企業は自社の経営資源だけでビジネスが完結することはなく、外部の経営資源に依存しています。

資源依存モデルとは「組織間の資源取引関係に着目し、外部組織への資源の依存関係をコントロールして、競争優位を確立しようという考え方」をいいます。

外部組織への依存度を決定する要因には、以下の3つがあります。外部への依存度が高いほど、コスト交渉力で不利になります。

外部組織への依存度を決定する要因

  • 資源の重要性
    • その資源の重要性が高いほど、外部組織への依存度が高くなる
  • 外部組織の資源の配分方法に対する自由裁量の程度
    • 外部組織の資源の配分や使用方法に対して、自社がコントロールできない場合は、外部組織への依存度が高くなる
  • 資源コントロールの集中度
    • 1つの外部組織から資源を供給を受けている場合は、外部組織への依存度が高くなる

外部組織への依存度が高い場合は、コスト交渉力が弱くなります。そこで、以下の対応策を取ることで、資源依存関係をコントロールしていきます。

外部組織への依存度を下げるための対応策

  • 資源依存関係そのものを回避する
    • 代替的取引関係を開発する
      • 複数の供給先を持つことで、特定組織への依存度を下げる
    • 多角化を行う
      • 事業の多角化を行うことで、特定組織や資源への依存度を下げる
  • 資源依存を認めつつも、他組織からの支配を回避する
    • 交渉
      • 外部組織と条件について話し合う
    • 包摂
      • 取引先の人(OBなど)を社外取締役などで社内に取り込む
    • 結託
      • 共通目的のために、2社以上で手を結ぶ

取引コストアプローチ

取引コストアプローチとは「企業活動に必要な資源を企業内部で調達するか、外部から調達するかの判断は、取引コストの大小で決まる」という考え方です。

なお、取引コストは、取引相手を「探索する」「交渉する」「監視する」の全てを含むコストになります。

つまり、取引相手を探すための情報収集や評価、取引相手との交渉や契約、契約が正しく実行されるかの管理・モニタリングまでの取引全般を含めたコストを指します。

そして、外部調達コストと内部取引コストの関係から、外部化もしくは内部化を判断していきます。

取引コストアプローチ

  • 外部調達コスト>内部取引コスト → 内部化
  • 外部調達コスト<内部取引コスト → 外部化

なお、内部化しても、規模の経済性が働かないなどで非効率になる場合は、関連会社や系列グループといった中間組織を採用することがあります

また、以下の状況では取引コストが上昇しやすくなります。

取引コストが上昇する要因

  • 機会主義的行動(自分だけ儲かればよいという行動)
  • 不確実性・複雑性
  • 情報の非対称性(片方だけが情報を多く持っている)
  • 関係特殊的投資

なお、関係特殊的投資とは、当事者にとって有益だが、その他の取引では価値が無いような投資をいいます。

例えば、A自動車メーカーが、部品メーカーの設備を一部負担して建設した場合、部品メーカーはA自動車メーカー以外には使えないため、効率性が低くても、A自動車メーカーの要望を受けざるを得なくなることが挙げられます。

【過去問】令和5年度 第21問(資源依存モデル)

問題

Q.資源依存パースペクティブでは、組織がさまざまな資源をステークホルダー(利害関係者)に依存していることに注目している。
 メーカーであるA社が、事業活動に必要な原料Xを、Xのみを製造販売しているB社から継続的に購買している場合に、両社間に生じうるパワー関係に関する記述として、資源依存パースペクティブの観点から、最も不適切なものはどれか。

【ア】
A社がB社以外の他社から原料Xをどの程度購買しているかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。

【イ】
A社が保有している機械設備の資産評価額が、B社が保有する機械設備の資産評価額よりも相対的に大きいことが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。

【ウ】
B社の販売量全体におけるA社向けの販売量が占める比率が、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。

【エ】
原料Xの販売についてのB社の自由裁量に関して法律などによる制約があるかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。

【オ】
原料Xを入手できなくてもさほど大きな問題が生じずにA社が事業活動を営むことができるかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。

解答・解説

正解:イ

ア:適切。特定組織に対する集中度は、両社の関係に影響を与えるため、適切です。

イ:不適切。機械設備の資産評価額は、資源依存に影響しないため、不適切です。

ウ:適切。特定組織に対する集中度は、両社の関係に影響を与えるため、適切です。

エ:適切。外部組織の資源の配分方法に対する自由裁量の程度は、両社の関係に影響を与えるため、適切です。

オ:適切。代替的な資源がある場合は、両社の依存関係に影響を与えるため、適切です。

【過去問】平成26年度 第18問(資源依存モデル)

問題

Q.企業組織はオープンシステムであり、その存続は環境からの資源獲得ができるか否かにかかっている。この資源制約は、企業組織が環境からコントロールされる可能性を意味するとともに、企業自身も自由裁量を確保するために環境を操作しようとすることを意味している。企業組織の環境操作戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
技術革新を通じて代替的な原材料などを開発することにより、既存の資源依存関係を変えることなく交渉を有利に進めることができる。

【イ】
経営者と労働者が将来の行動について双方が満足できるように折衝するのは、取引される財やサービスについての合意を意図する交渉戦略である。

【ウ】
財務的資源を必要とする企業が金融機関の代表を自社の取締役会に招くなどの結託戦略は、資源依存関係を変えることなく、環境からの脅威を小さくすることができる。

【エ】
市場浸透戦略を進めて、新たな顧客層を獲得することで、顧客に対する資源依存関係を変えることが可能になる。

【オ】
新製品に複数の製品規格が存在すると、消費者が買い控えをする可能性があるので、企業間であらかじめ業界標準を決めてしまう包摂戦略は、新規市場の成長率を高めることができる。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。代替的な原材料を開発することは、特定組織への依存度を下げるため、適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。取引先の人を社内に取り込む戦略は包摂であるため、不適切です。

エ:不適切。市場浸透戦略は「既存の顧客層」に対する戦略であるため、不適切です。

オ:不適切。企業間であらかじめ業界標準を決めてしまう戦略は結託であるため、不適切です。

今日のおさらい

今回は「資源依存モデル、取引コストアプローチ」を勉強しました。

資源依存モデルについては、依存度が高まる要因と対応方法を理解しておきましょう。

資源依存モデル、取引コストアプローチ

  1. 外部組織への依存度の決定要因には「資源の重要性」「外部組織の資源の配分方法に対する自由裁量の程度」「資源コントロールの集中度」があり、外部への依存度が高いほど、コスト交渉力で不利になる。
  2. 外部組織への依存度を下げるためには、代替的取引関係を開発する、多角化を行うなどの「依存関係を回避する方法」、交渉、包摂、結託などの「依存関係は認めつつ、他組織からの支配を回避する方法」がある。
  3. 取引コストアプローチとは「企業活動に必要な資源を企業内部で調達するか、外部から調達するかの判断は、取引コストの大小で決まる」という考え方。取引コストには「探索」「交渉」「監視」の段階があり、取引コストが大きい場合は内部化、小さい場合は外部化を行う。

中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。

できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。

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この記事を書いた人

中小企業診断士(令和2年度合格)

令和元年度、1次試験合格(通信講座)
その年の2次試験はあえなく不合格。
翌年は3ヶ月の完全独学で2次試験に合格。

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