企業経営理論【27】リーダシップ理論(後半)

1回「20分」で、中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。

今回は「リーダシップ理論(後半)」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。

出題範囲との関係

【経営戦略論】

【組織論】

・経営組織の形態と構造
経営組織の運営
・人的資源管理
・労働関連法規

【マーケティング】

今回の学習キーワード

  • リーダーシップの行動類型論、リーダーシップの状況適用理論
  • レビンの行動類型論
  • オハイオ研究
  • リッカートのシステムⅣ理論
  • ブレーク&ムートンのマネジリアル・グリッド
  • 三隅二不二のPM理論
  • フィードラーの状況適用理論
  • ハウスのパス・ゴール理論
  • ハーシー&ブランチャードのSL理論
  • 変革的リーダーシップ
  • LMX(リーダー・メンバー交換)理論
目次

リーダシップ理論の変遷

リーダーシップとは「目標達成のために人々に影響を与える力」のことをいいます。

前回は、リーダーシップの源泉、権限の根拠について勉強しました。

今回は「後半」として、リーダーシップ理論の変遷、主要な理論について勉強していきます。

最初に、リーダーシップ理論の変遷を見ておきましょう。

リーダーシップ理論は、リーダーの個性とリーダーとしての資質の関係性を明らかにする「資質特性論」から始まりましたが、当時の研究では解明には至りませんでした。

そこで、リーダーの行動パターンからリーダーシップとはどのようなものかを類型する「行動類型論」が発展しました。

その後、リーダーの置かれている状況に応じて、最適なリーダシップは異なるとする「状況適用理論」が登場し、近年では、リーダーの資質を個人的特性に求める新資質特性論などが提唱されています。

リーダシップの行動類型論

行動類型論には、多くの理論がありますが、行動類型論の結論は「業績と人間の両方に配慮できるリーダーが最も望ましい」ということを覚えておきましょう。

レビンの「行動類型論(アイオワ研究)」

レビンはリーダーシップを、(1)独裁型リーダーシップ、(2)放任型リーダーシップ、(3)民主型リーダーシップに分類しました。

独裁型はリーダーが全てを決定し、放任型はリーダーは決定にほとんど関与しないリーダシップです。

一方、民主型はメンバーの積極性と自主性を尊重し、メンバーが参加するリーダーシップであり、民主型リーダーシップが一番望ましいと提唱しました。

オハイオ研究

オハイオ州立大学では、リーダーの行動を測定する尺度作りに取り組んだ結果、リーダーの行動には、(1)配慮(メンバー間の人間関係を有効に保つ)、(2)構造づくり(目的達成に向けて、メンバーの動きを一定方向にまとめたり、インフラを整備する)の2つがあると提唱しました。

そして、配慮と構造づくりの両方ができるリーダーが望ましいと主張しました

リッカートの「システムⅣ理論」(ミシガン研究)

リッカートは、リーダーシップのタイプを4タイプに類型化しました。

リッカートのリーダーシップ(システムⅣ理論)

  1. 独善的専制型(システム1)
    • 全ての意思決定をリーダーが行う
  2. 温情的専制型(システム2)
    • 多くの意思決定をリーダーが行うが、決められた範囲で部下も決定できる
  3. 相談型(システム3)
    • 全体方針はリーダーが決定し、個別の問題は部下に権限移譲する
  4. 集団参加型(システム4)
    • 部下の意見を積極的に取り上げて、建設的に活用するリーダシップ

上記のなかで、部下の意見を積極的に取り上げて、建設的に活用するリーダシップである「集団参加型(システム4)」が最も望ましいと提唱しました。

また、リーダーは人と人、集団と集団を有機的に結び付け、コミュニケーションを円滑にする潤滑油である「連結ピン」の役割が求められると主張しています。

ブレーク&ムートンの「マネジリアル・グリッド」

ブレークとムートンは、リーダーの行動スタイルを「人に関する関心」と「業績への関心」の2つで捉えて、マトリクスでリーダータイプを整理しました。

そして、「人に関する関心」と「業績への関心」の両方ともに高い「9.9型」のリーダシップが理想であると主張しました。

三隅二不二の「PM理論」

三隅二不二は、リーダーの機能を「P(Performace:職務遂行機能)」と「M(Management:集団維持機能)」の2軸で類型化したPM理論を提唱しました。

P(職務遂行機能)とは、生産に対する志向で、組織目的を達成させること、M(集団維持機能)とは、人への志向のことで、メンバー間のコンフリクトを解消していく力を指しています。

そして、最も優れたリーダーはP(職務遂行能力)とM(集団維持機能)の両方ともに高い「PM型」であると主張しました。

リーダシップの状況適用理論

状況適用理論は、唯一最適なリーダシップは存在せず、リーダーの置かれている状況に応じて、最適なリーダシップは異なるとする主張する理論です。

フィードラーの「状況適用理論」

フィードラーは、リーダーと部下が置かれている状況(リーダーとメンバーの人間関係、課業の構造化の度合い、リーダーの職位に基づくパワー)によって、リーダーシップのスタイルを変えるべきと提唱しました。

具体的には、2つのリーダーシップのスタイルを提唱しています。

フィードラーの「状況適用理論」

  1. 仕事中心型のリーダーシップ(タスク志向型)
    • リーダーと集団の関係が「好ましい/好ましくない状況」で有効
  2. 人間関係志向型のリーダーシップ(人間関係志向型)
    • リーダーと集団の関係が「中程度の状況」で有効

ハウスの「パス・ゴール理論」

ハウスは「パス・ゴール理論」を提唱しました。

そこでは、集団の環境的条件や部下の要因によって、適切なパス(道筋)を示し、部下のゴール(業績達成)を助けるのが有能なリーダーであると主張しました。

具体的には、リーダーシップのスタイルを4つに分類し、状況に応じて使い分けることを提唱しています。

パス・ゴール理論のリーダーシップスタイル

  1. 指示型
    • タスクが曖昧、部下の経験が少ない、行動の決定権が自分にない状況で有効
    • リーダーが具体的な仕事方法や工程を示すスタイル
  2. 支援型
    • タスクが明確な状況で有効
    • リーダーは気遣いや配慮を重視するスタイル
  3. 参加型
    • 部下の能力や自立性が高い状況で有効
    • リーダーは意思決定をする前に部下に意見を求め、部下の提案を活用するスタイル
  4. 達成型
    • 努力すれば高い業績につながる期待がある状況で有効
    • 部下に高い目標を示し、全力を尽くすように求めるスタイル

ハーシー&ブランチャードの「SL理論」

SL理論とは、部下の発達度に応じてリーダーの行動を変えていくべきという理論です。

具体的には、リーダーのスタイルを指示的行動(タスク志向)と援助的行動(人間関係志向)の高低で4つの象限に分け、部下の成熟度に応じてS1→S2→S3→S4へと変化していくと主張しています。

SL理論のリーダーシップスタイル

  1. S1 教示型
    • 部下の成熟度が最も低く、具体的な指示を与える一方通行のリーダーシップ
  2. S2 説得型
    • リーダーの考え方を説明して、疑問に答える双方向のリーダシップ
  3. S3 参加型
    • 部下の自立を促し、部下との対話の下、考えを合わせて決めれるように支援する双方向のリーダーシップ
  4. S4 委任型
    • 最も部下が成熟しており、権限を委譲し、仕事遂行の責任を委ねる最小限のリーダーシップ

近年のリーダシップ理論

変革的リーダーシップ

リーダーは従来の管理能力だけでなく、変化に対応する変革能力との両立が必要という考え方です。

変革的リーダーに必要な能力として、以下が挙げられます。

変革的リーダーに必要な能力

  • 変革ビジョン設計
    • 魅力あるビジョンを設計する
  • 変革共有コミュニケーション
    • コミュニケーションを通じて共有する
  • コーティング
    • ビジョンを達成するために部下の技術面を支援する
  • 動機付け
    • ビジョンを達成するために部下の心理面を支援する

LMX(リーダー・メンバー交換)理論

LMX理論とは、リーダーとメンバーとの関係に着目した理論です。

リーダーとメンバーの関係を「外集団(組織の規定に基づいた上下関係のみの関係)」と「内集団(リーダーとメンバーの関係が上下関係以上の関係)」で考える点が特徴です。

そして、リーダーはより多くの人を内集団に移行させるように関係を構築すべきと主張しています。

【過去問】平成22年度 第12問(リーダーシップ理論)

問題

Q.リーダーシップの諸学説に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
ハウスによるパス・ゴール理論は、リーダーの職務は部下の業務目標の達成を助けることであり、そのために必要な方向性や支援を与えることにあるとした。

【イ】
フィードラーによるコンティンジェンシー理論では、環境の不確実性が高い場合には有機的なリーダーシップが、不確実性が低い場合には機械的リーダーシップが望ましいとした。

【ウ】
ブレイクとムートンによるマネジリアル・グリッドは、「構造作り」と「配慮」という二軸でリーダーシップ特性を分類し、9-9型が最も高い成果を生むとした。

【エ】
リッカートによる参加型リーダーシップでは、リーダーは部下の意思決定に積極的に参加し、影響力を行使することが重要であるとした。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。パス・ゴール理論は、部下のゴール(業績達成)を助けるために、適切なパス(道筋)を示すことであるため、適切です。

イ:不適切。フィードラーは、リーダーと部下が置かれている状況によって、「仕事中心型」もしくは「人間関係志向」を提唱しているため、不適切です。

ウ:不適切。ブレイクとムートンのマネジリアル・グリッドは、「人への関心」と「業績への関心」から分類しているため、不適切です。

エ:不適切。リッカートは「集団参加型リーダーシップ」を提唱していため、不適切です。

【過去問】令和3年度 第16問(リーダーシップ理論)

問題

Q.リーダーシップ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
E.P.ホランダー(E. P. Hollander)の特異性-信頼理論によると、リーダーがフォロワーから信頼を得るためには、集団の目的に貢献する有能性と、集団の自由を重んじる開放性を満たす必要がある。

【イ】
F.E.フィードラー(F. E. Fiedler)の研究によると、リーダーシップの有効性に影響を及ぼす状況の決定要因とは、①リーダーとメンバーの人間関係、②課業の構造化の度合い、③リーダーの職位に基づくパワーの 3 要因である。

【ウ】
R.リッカート(R. Likert)らによる初期のミシガン研究によると、高業績部門では職務中心的な監督行動が多くみられる一方で、低業績部門では従業員中心的な監督行動が多くみられる。

【エ】
オハイオ研究によると、有効なリーダーシップの行動特性を表す次元とは、メンバーが良好な人間関係を構築できる「構造づくり」と、課題達成に向けてメンバーに理解しやすい指示を出す「配慮」の 2 つである。

【オ】
状況的リーダーシップ論(SL 理論)によると、リーダーシップの有効性に影響を及ぼす状況要因とは、目標達成に向けたフォロワーの貢献意欲の強さである。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。ホランダーの特異性-信頼理論は、多くの人がわからないため、他の選択肢を見ましょう。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。リッカートは「集団参加型(システム4)」を提唱しているため、不適切です。

エ:不適切。「構造づくり」と「配慮」が逆転しているため、不適切です。

オ:不適切。SL理論は、「部下の発達度」に応じてリーダーの行動を変える理論であるため、不適切です。

【過去問】平成30年度 第16問(リーダーシップ理論)

問題

Q.状況ごとに異なるリーダーシップを捉える条件適合理論の 1 つに、パス・ゴール理論がある。パス・ゴール理論が注目する状況要因には、タスク特性や公式の権限体系などリーダーが直接コントロールできない環境と、部下の経験や能力などの個人的特徴がある。
パス・ゴール理論が明らかにしたリーダーシップに関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
構造化されたタスクに携わる従業員に対しては、指示型リーダーシップによる職務遂行が有効である。

【イ】
構造化されたルーチンワークに携わる部下に対しては、支援型リーダーシップが高業績と高い満足度をもたらす。

【ウ】
行動の決定権が自分にはないと感じている従業員に対しては、参加型リーダーシップによって動機づけを行うことが有効である。

【エ】
職場内に深刻な価値コンフリクトが生じている場合には、参加型リーダーシップが従業員の高い満足度をもたらす。

【オ】
複雑なタスクに携わる高い能力を持つ従業員に対しては、より具体的な作業内容を与える指示型リーダーシップが高い満足度をもたらす。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。タスクが明確な状況では「支援型」が有効であるため、不適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。行動の決定権が自分にない状況では「指示型」が有効であるため、不適切です。

エ:不適切。コンフリクトが生じている(=タスクが曖昧になっている)状況では「指示型」が有効であるため、不適切です。

オ:不適切。指示型は、リーダーが具体的な仕事方法や工程を示すスタイルであるため、不適切です。

【過去問】令和5年度 第18問(リーダーシップ理論)

問題

Q.リーダーシップの条件適合理論の1つであるパス・ゴール理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
自分の行動とその結果を自分自身が統制していると考える部下は、リーダーから意思決定に関して相談されたり提案を求められたりすることに強い満足を得る傾向がある。

【イ】
タスクの内容と達成方法を具体的に指示するリーダーシップは、部下のタスクが曖昧な場合よりも高度に構造化されている場合の方が、部下の満足度を高めやすい。

【ウ】
タスクを遂行する自らの能力が高いと認識する部下ほど、タスクの内容や達成方法を具体的に指示するリーダーシップに対する満足度が高くなる。

【エ】
部下の感情面への配慮を示すリーダーシップは、タスクを遂行すること自体から得られる部下の満足度が低い場合よりも高い場合の方が、部下の満足度を高めやすい。

【オ】
リーダーは、自らの性格的な特性に応じて、指示型、支援型、参加型、達成志向型のいずれかの行動スタイルをとることで部下の満足度を高められる。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。選択肢の通りです。参加型リーダーシップの説明ですね。

イ:不適切。指示型リーダーシップは、タスクが曖昧な状況で有効であるため、不適切です。

ウ:不適切。タスクを遂行する自らの能力が高いと認識する部下に、指示型リーダーシップを実施すると、部下の満足度が下がるため、不適切です。

エ:不適切。感情面への配慮は、タスク遂行の満足度が低い場合に有効であるため、不適切です。

オ:不適切。パス・ゴール理論は「集団の環境的条件や部下の要因」によってリーダーシップが変わるため、不適切です。

【過去問】令和元年度 第17問(リーダーシップ理論)

問題

Q.状況に即したリーダーシップに関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
F.フィードラーの研究によると、組織が未成熟で管理体制が厳しい場合と、組織が成熟しており管理体制が緩やかな場合においては、人間関係志向型のリーダーシップ行動が集団の業績を高める。

【イ】
SL(Situational Leadership)理論によると、フォロワーの成熟度が高く、自律的な行動が可能な状態では、リーダーの参加型リーダーシップにより、フォロワーの行動が自然と集団目標に沿うようになる。

【ウ】
パス・ゴール理論によると、「困難な目標を設定し、部下に全力を尽くすよう求める」という達成志向型のリーダーシップは、タスクが構造化されていないときに、努力すれば高業績につながるというフォロワーの期待を高める。

【エ】
リーダー・メンバー交換理論によると、リーダーとフォロワーの関係は、①他人的関係、②知人的関係、③成熟した関係、という順序で深まっていく。関係の深まりに応じて、敬意や信頼に根ざしたものになり、取引的・公式的な相互作用が失われていく。

解答・解説

正解:ウ

ア:不適切。「人間関係志向型」ではなく、「仕事中心型」であるため、不適切です。

イ:不適切。フォロワーの成熟度が高く、自律的な行動が可能な状態では「委任型」が適しているため、不適切です。

ウ:適切。達成型は、部下に高い目標を示し、全力を尽くすように求めるスタイルでるため、適切です。

エ:不適切。LMX理論は、リーダーとメンバーの関係を「外集団」から「内集団」に移行させていくのが特徴です。ただし、取引的・公式的な相互作用が失われるわけではないため、不適切です。

今日のおさらい

今回は「リーダシップ理論(後半)」を勉強しました。

主要理論の内容が入れ替わって出題されたり、パス・ゴール理論やSL理論の詳細が出題されやいです。それぞれのポイントを理解しておきましょう。

リーダーシップ理論(後半)

  1. 行動類型論の結論は「業績と人間の両方に配慮できるリーダーが最も望ましい」。状況適用理論は「状況に応じて、最適なリーダシップは異なる」と主張する理論である。
  2. 行動類型論では、レビンは「民主型」、オハイオ研究は「配慮と構造づくり」、リッカートは「集団参加型」、ブレーク&ムートンは「人と業績への関心」、三隅二不二は「P(職務遂行)とM(集団維持)」が望ましいと提唱した。
  3. 状況適用理論では、フィードラー(状況適用理論)は「好ましい/好ましくない関係では仕事中心型、中程度では人間関係志向型」、ハウス(パス・ゴール理論)は「指示→支援→参加→達成で、適切なパスを示す」、ハーシー&ブランチャード(SL理論)は「部下の成熟度で、教示→説得→参加→委任型のリーダーシップを取るべき」を提唱した。

中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。

できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。

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この記事を書いた人

中小企業診断士(令和2年度合格)

令和元年度、1次試験合格(通信講座)
その年の2次試験はあえなく不合格。
翌年は3ヶ月の完全独学で2次試験に合格。

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