企業経営理論【26】リーダシップ理論(前半)

1回「20分」で、中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。

今回は「リーダシップ理論(前半)」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。

出題範囲との関係

【経営戦略論】

【組織論】

・経営組織の形態と構造
経営組織の運営
・人的資源管理
・労働関連法規

【マーケティング】

今回の学習キーワード

  • リーダーシップの源泉(報酬勢力、強制勢力、正当勢力、準拠勢力、専門勢力)
  • 制度的リーダシップ
  • 権限法定説、権限職能説、権限受容説
目次

リーダシップの源泉

リーダーシップとは「目標達成のために人々に影響を与える力をいいます。

組織が成長するには、組織メンバーをまとめて目標達成に導いていくリーダーシップが欠かせません。

最初に、リーダーシップの源泉として、5つの社会的勢力を理解しておきましょう。

5つの社会的勢力は、(1)組織から与えられる勢力(報酬勢力、強制勢力、正当勢力)、(2)個人のパーソナリティに起因する勢力(準拠勢力、専門勢力)で分けると理解しやすくなります。

組織から与えられる勢力

1.報酬勢力

報酬を与える能力をベースにした勢力。金銭以外にも昇進や昇格、賞賛などが含まれます。

2.強制勢力

従わないと罰を受けるのではないかという受け手の予想から生じる勢力。叱責や減給、解雇、左遷などがあります。

3.正当勢力(合法勢力)

命令や許可、指示などリーダーが正当な権利を持ち、受け手が従う義務があると感じる場合に成立する勢力。

個人のパーソナリティに起因する勢力

4.準拠勢力(同一化勢力)

リーダーに個人的魅力を感じていたり、一体感を抱いていたりする場合に成立する勢力。尊敬や憧れなどが含まれます。

5.専門勢力

リーダーのほうが自分よりも技術や知識や能力などで優れていると感じているときに成立する勢力。

制度的リーダーシップ

制度的リーダーシップとは「特定の企業の価値観に則ったリーダシップ」をいいます。

制度的リーダーシップは、組織文化を伝えていく役割を持っており、組織変革や組織の活性化でも重要な役割を果たします。

セルズニックは、制度的リーダーシップを「リーダーの本質的な役割」として位置づけ、組織に与えられた基本的な目的・使命に理念を注入し、組織の目指す方向性を合わせることだと主張しています。

権限とリーダシップ(権限法定説、権限職能説、権限受容説)

リーダーシップには「権限」が伴う必要があります。この権限の根拠には、以下の3つがあります。

権限の根拠

  • 権限法定説(公式権限説)
    • 権限の源泉は「私有財産制度」であるとする考え方
    • 権限は上位者から順次与えられるもの。株式会社では「株主」が権限の上位に位置する
  • 権限職能説
    • 権限は職能を遂行する権利であるとする考え方
    • 権限は組織の役割(部長など)として付随している
  • 権限受容説(バーナードが提唱)
    • 部下が上司の命令を受け入れると成立する考え方
    • 権限は組織構成員に受容されることによって初めて権限として認められるとするもの

バーナードが提唱した「権限受容説」は、1次試験でも出題されていますので、特徴も理解しておきましょう。

バーナードの「権限受容説」のポイント

  • 権限が受容される4つの条件(満たさないと受容されない)
    • 理解できる命令であること
    • 組織目的と矛盾しないと信じられる命令であること
    • 個人的利害全体と両立すると信じられること
    • 精神的、肉体的にも従いうること
  • 「無関心圏の定義
    • 下位者が上位者の命令に対し、権限の有無を問題にせず(=権限・権威に関係なく)、無関心に受け入れる心の範囲のこと

【過去問】平成30年度 第17問(リーダーシップの源泉)

問題

Q.集団のリーダーには、メンバーが集団目標を自身の目標として達成しようとするように働きかけることが求められるが、その手段としてメンバーを追従させるためのパワーが必要である。個人や集団を追従させるパワーの源泉に関する記述として、最も不適切なものはどれか

【ア】 
技術が高度化するにつれ、リーダーが専門的な知識やスキルを有している、あるいは専門家からのサポートを得ていることが、メンバーを従わせる専門力(expert power)となる。

【イ】
職位権限など、組織から公式に与えられた地位は、それ自体が人々を従わせる正当権力(legitimate power)となる。

【ウ】
メンバーが自身と同じような資質や個性を備えたリーダーに同一化する同一視力(referent power)が生まれる。

【エ】
リーダーがメンバーの昇給や昇進、その他の好意的な労働条件を与えることができる権限を持っている場合、メリットを求めて指示に従う報酬力(rewardpower)が生まれる。

【オ】
リーダーがメンバーに集団内での不利益を与える場合、恐怖心に裏付けられた強制力(coercive power)が生まれる。

解答・解説

正解:ウ

ア:適切。「専門勢力」の説明であるため、適切です。

イ:適切。「正当勢力(合法勢力)」の説明であるため、適切です。

ウ:不適切。同一視力ではなく、「準拠勢力(同一化勢力)」であるため、不適切です。

エ:適切。「報酬勢力」の説明であるため、適切です。

オ:適切。「強制勢力」の説明であるため、適切です。

【過去問】令和3年度 第14問(権限受容説)

問題

Q.組織の参加者が、自分の行為を決定するものとして組織内の伝達を受け入れるかどうかは、その伝達を権威あるものとして受容するかどうかに依存している。C.I.バーナード(C. I. Barnard)が主張した伝達の特徴としての権威に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
権威が受容されるためには、意思決定に当たり、伝達の内容が組織目的と矛盾しないと参加者が信じることが必要である。

【イ】
権威は、伝達の内容が参加者の個人的利害に反する場合でも、その命令に従わせる能力を意味する。

【ウ】
参加者の無関心圏の範囲では、命令は権威あるものとして受容される。

【エ】
命令の一元性が確保されていれば、権威は職位によって決まるので、部下は上位の管理職から発せられる命令に従う。

【オ】
リーダーシップの権威とは、個人の知識や専門能力とは別に、リーダーの地位にその源泉が求められる。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。権限が受容される条件である「組織目的と矛盾しないと信じられる命令であること」と合致するため、適切です。

イ:不適切。権限が受容される条件である「個人的利害全体と両立すると信じられること」と矛盾するため、不適切です。

ウ:不適切。無関心圏とは「下位者が上位者の命令に対し、権限の有無を問題にせず(=権限・権威に関係なく)、無関心に受け入れる心の範囲のこと」であるため、不適切です。

エ:不適切。権限受容説は「権限は組織構成員に受容されることによって権限として認められる」ため、不適切です。

オ:不適切。リーダーシップの権威(源泉)には、個人の知識や専門能力も含まれるため、不適切です。

【過去問】令和4年度 第14問(権限受容説)

問題

Q.C.I.バーナードは組織における個人の権威の受容について、無関心圏(zone of indifference)が重要な役割を果たすとしている。無関心圏に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
個人にとって受容可能な命令が継続的に発せられると、次第に無関心圏の範囲が狭くなっていく傾向がある。

【イ】
個人にとって無関心圏にある職務は無視され、遂行される可能性が低くなるので、無関心圏をいかに小さくするかが組織の存続にとって重要になる。

【ウ】
個人の無関心圏に属する命令は、権威の有無を問われることなく受容される傾向がある。

【エ】
無関心圏にある職務に対しては、個人のコミットメントは低くなるから、無関心圏の存在は組織の存続にとって負の影響を与える。

【オ】
無関心圏にある職務を個人に遂行してもらうためには、個人の貢献を大きく上回る誘因を提供する必要がある。

解答・解説

正解:ウ

無関心圏とは「下位者が上位者の命令に対し、権限の有無を問題にせず(=権限・権威に関係なく)、無関心に受け入れる心の範囲のこと」を言います。これに照らすと、ウが正解になります。

今日のおさらい

今回は「リーダシップ理論(前半)」を勉強しました。

バーナードの権限受容説は、最近出題されているため、4つのポイント、無関心圏を理解しておきましょう。

リーダーシップ理論(前半)

  1. リーダーシップとは「目標達成のために人々に影響を与える力」である。その源泉には「報酬勢力」「強制勢力」「正当勢力(合法勢力)」「準拠勢力」「専門勢力」がある。
  2. 権限の根拠には「権限法定説」「権限職能説」「権限受容説」がある。バーナードは、権限は組織構成員に受容されることによって権限として認められるとした「権限受容説」を提唱した。
  3. 権限が受容されるには、「理解できる」「組織目的と矛盾しない」「個人的利害と両立する」「精神的、肉体的にも従いうる」の4つの条件が必要である。また、権限に関係なく、命令を無関心に受け入れる心の範囲を「無関心圏」という。

中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。

できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。

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この記事を書いた人

中小企業診断士(令和2年度合格)

令和元年度、1次試験合格(通信講座)
その年の2次試験はあえなく不合格。
翌年は3ヶ月の完全独学で2次試験に合格。

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