企業経営理論【34】労働基準法(全般、就業規則、労働契約、解雇)

中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。

今回は「労働基準法(全般、就業規則、労働契約、解雇)」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。

労働関連法規は、5問程度出題されますが、社労士試験レベルの問題もあり、勉強の費用対効果が低いです。労働基準法の基礎を抑えることに集中しましょう。

出題範囲との関係

【経営戦略論】

【組織論】

・経営組織の形態と構造
・経営組織の運営
・人的資源管理
労働関連法規

【マーケティング】

今回の学習キーワード

  • 労働基準法、労働協約、就業規則、労働契約、労使協定
  • 絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項、任意的記載事項
  • 無期雇用契約、有期雇用契約
  • 解雇制限、解雇予告

試験対策

「就業規則」は頻出論点です。「労働契約」「解雇」も基本は抑えておきましょう。

目次

労働基準法(概要)

労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めることで、労働者を保護する法律です。

本来、労働条件は「使用者(会社側)」と「労働者(従業員)」が対等の立場ですが、労働者のほうが経済的に立場が弱くなることが多いため、労働基準法で労働者を保護しています。

具体的には、労働基準法の基準に満たない労働条件は「無効」となり、無効の部分は、労働基準法に定める基準が適用されるます。一方、労働者に有利な労働条件については「有効」になります。

労働に関するルールの優先順位

労働者と使用者の関係は、労働基準法などの法令以外にも、労働協約や就業規則、労働契約、労使協定などがあります。

それらの関係を整理すると、以下になります。

最も優先順位が高いのが、民法、労働基準法、労働安全衛生法などの「法令」です。

2番目に優先順位が高いのが、労働組合と使用者の間で、労働条件や団体交渉、組合活動などの労使関係ルールを書面で取り交わした「労働協約」です。

3番目に優先順位が高いのが「就業規則」です。就業規則とは、労働者を使用する使用者が、労働者の労働条件等を定めた社内規則です。

なお、労働条件とは、賃金や労働時間、解雇など労働者の職場におけるすべての待遇を言います。

4番目は「労働契約」です。これは個々の労働者と使用者との間で、契約期間や労働時間、賃金、休日などを定めた契約になります。会社に入社するときに使用者と取り交わす契約です。

なお、労働協約、就業規則、労働契約ともに、それよりも上位に位置する法令や労働協約、就業規則に反する内容を定めることはできない点も理解しておきましょう。

これら以外では、労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数の代表)と使用者の間で締結する「労使協定」があります。

労使協定は、その協定の定めるところによって労働させても労働労働基準法に違反しないという免罰効果があります。

労使協定の代表例が「時間外労働の協定」(36協定)です。

36協定を締結して、労働基準監督署に届け出ると、労働者に法定労働時間を超える時間外労働をさせ、または法定休日に労働をさせても、労働基準法違反とはならず、刑事罰が課されることもなくなります。

就業規則

就業規則とは、「労働者を使用する使用者が、労働者の労働条件等を定めた社内規則」のことを言います。

常時10人以上(パート含む)の事業所は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります(承認までは不要)。

作成にあたっては、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聴取する必要があります(同意までは不要)。

また、常時事業場の見やすい場所に掲示する必要があります(個別の書面交付までは不要)。

就業規則に記載する事項には、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」があります。

就業規則の記載事項

  • 絶対的必要記載事項
    • 絶対に書かなければいけない項目
    • 労働時間(始業と終業時刻)、休憩時間、休日、休暇、賃金、退職
  • 相対的必要記載事項
    • 定めがあるときは書かなければならない項目
    • 臨時の賃金、退職手当/退職金、表彰、安全・衛生関係など
  • 任意的記載事項
    • 上記以外で、任意に記載する項目

労働契約

労働契約とは、「労働者と使用者の間で、契約期間、労働時間、賃金、休日などを定めたもの」を言います。

労働契約は、労働者が使用に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者および使用者が合意することによって成立します。

契約期間には、期間の定めがない「無期雇用契約」と期間の定めがある「有期雇用契約」があります。

有期雇用契約の場合、1回の契約期間は「原則3年」が上限です。

有期雇用契約が通算5年を超えて繰り返し更新される場合は、労働者の側から無期雇用契約に転換することができます。

ただし、有期雇用契約とその次の有期雇用契約の間に、無契約期間(クーリング期間)が6ヶ月以上(原則)あるときは、通算期間がリセットされます。

なお、無期雇用契約に転換しても、労働条件を無期雇用契約に合わせる必要は無い点も理解しておきましょう。

また、有期雇用契約にはいくつかの例外があります。以下で理解しておきましょう。

有期雇用契約における1回の契約期間

  • 原則
    • 3年が上限。
    • 通算5年を超えて繰り返し更新される場合、労働者の側から無期雇用契約に転換できる
    • 無期雇用契約に転換しても、労働条件を無期雇用契約に合わせる必要はなし
  • 例外
    • 3年を超えてもOK:有期事業(ダム建設など)
    • 5年を上限に契約OK:(1)専門的知識等を有する労働者、(2)満60歳以上の労働者
    • 最大10年まで:高度専門職(年収1,075万円以上)
    • 上限なし継続雇用の労働者

また、労働基準法が改正され、同一企業において、正社員と非正規社員の間で不合理な待遇差を禁止する「均衡待遇規定」が明確化されています。

有期雇用の労働者も、差別的取扱いを禁止する均等待遇規定の対象になっている点を抑えておきましょう。

解雇

解雇は、労働者保護の観点から、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効とされています。これを「解雇権濫用の法理」と言います。

使用者は原則として、次の期間内にある労働者を解雇することはできません。ただし、例外的な規定もあるので、合わせて理解しておきましょう。

解雇制限

  • 業務上傷病により休業する期間及びその後30日間
  • 産前産後の休業期間及びその後30日間

解雇制限中でも例外的に解雇OK

  • 休業期間が3年以上経っても治らず、平均賃金の1,200日分の打切補償を行った場合
  • 天災事変などで事業継続が不可能になった場合で、労働基準菅所長の認定を受けた場合

また、労働者を解雇しようとするときは、原則として次のいずれかの手続き(併用可)が必要になります。なお、労働者からの退職の申し出は「2週間前」になります。

こちらも解雇予告の適用除外もありますので、合わせて理解しておきましょう。

解雇の予告(併用可)

  • 少なくとも30日前に解雇予告をする
  • 30日以上の平均賃金を支払う

解雇予告の適用除外者

  • 日日雇い入れられる者
    • 1か月を超える場合は予告が必要
  • 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
    • 所定の期間を超えて引き続き使用される場合は予告が必要
  • 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
    • 所定の期間を超えて引き続き使用される場合は予告が必要
  • 試の使用期間中の者
    • 14日を越えて引き続き使用される場合は予告が必要

なお、以下の場合は、労働基準監督署長の認定を受けることで、事前の予告なしの解雇することができます。

雇予告なしの解雇OK(労働基準監督署長の認定が必要)

  • 天災事変などで事業継続が不可能になった
  • 労働者の責に帰すべき事由によって解雇する

【過去問】令和6年度 第24問(労働基準法・全般)

問題

Q.労働者の募集及び採用、採用内定、試用期間、労働契約に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
使用者が期限を定めない労働契約を締結する際の労働条件として3カ月の試用期間を定め書面により通知した場合、当該期間中に解雇するときは労働基準法の解雇予告制度の適用を受けない。

【イ】
使用者が労働者を募集及び採用するに当たり、転居を伴う転勤ができる者のみを対象とすることは、合理的な理由の有無にかかわらず、雇用の分野における性別に関する間接差別には該当しない。

【ウ】
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

【エ】
労働契約を締結する承諾の意思表示をした新規学卒者の採用内定を使用者が取り消すことは、実際の就業が開始する前であることから、理由の如いかん何にかかわらず有効である。

解答・解説

正解:ウ

ア:不適切。「試用期間者」は解雇予告の除外対象者ですが、14日を越えて引き続き使用される場合は予告が必要になるため、不適切です。

イ:不適切。男女雇用機会均等法の内容です。労働者を募集及び採用において、合理的な理由がなければ、雇用の分野における性別に関する間接差別に該当するため、不適切です。

ウ:適切。選択肢の通りです。

エ:不適切。承諾後に、使用者側が知りえない事実が発覚し、社会通念上相当とされる場合は、実際の就業開始前に取り消すことができるため、不適切です。

【過去問】令和3年度 第24問(労働基準法・全般)

問題

Q.労働基準法の定めに関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
使用者は、事業場ごとに労働者名簿と賃金台帳を調製しなければならず、また、労働者名簿及び賃金台帳など労働関係に関する重要な書類は10 年以上保存しておかなければならない。

【イ】
労働基準法には、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的な取り扱いを禁止する規定はない。

【ウ】
労働基準法の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主は処罰されない。

【エ】
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

解答・解説

正解:エ

ア:不適切。これらの書類は労働基準法で、5年間の保存が義務付けられているため、不適切です。試験当日ではわからないので、一旦保留で他の選択肢を確認しましょう。

イ:不適切。労働基準法には、男女同一賃金の原則の規定があるため、不適切です。

ウ:不適切。一般的に考えて、事業主が処罰されないことはないと考えにくいため、不適切です。

エ:適切。選択肢の通りです。労働基準法は、労働条件の最低基準を定めています。

【過去問】令和6年度 第27問(労働基準法・就業規則)

問題

Q.就業規則に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
使用者は、就業規則において1日の労働時間について「8時間勤務とする」と定めた場合であっても、その事業場における具体的な始業及び終業の時刻並びに休憩時間について規定しなければならない。

【イ】
使用者は、新規に会社を設立し初めて就業規則を定めることになった場合は、その内容に関して、全労働者の過半数の同意を得なければならない。

【ウ】
使用者は、同一事業場において一部の労働者にのみ適用される「パートタイム就業規則」を変更する際には、当該事業場に労働組合がない場合には、全労働者の過半数を代表する者の意見を聴く必要はない。

【エ】
使用者は、変更後の就業規則を労働者に周知させ、当該変更が諸事情を考慮して合理的なものであると判断されたとしても、労働者と合意しなければ、就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更することは一切できない。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。選択肢の通りです。

イ:不適切。就業規則は労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聴取すればよく、同意は不要なので、不適切です。

ウ:不適切。一部の修正でも、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聴取する必要があるため、不適切です。

エ:不適切。労働者にとって不利益な労働条件でも、合理的な理由があれば変更できるため、不適切です。

【過去問】平成30年度 第26問(労働基準法・就業規則)

問題

Q.就業規則の作成や届け出、周知等に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
常時10 人以上の労働者を使用する事業場の使用者は、就業規則を作成した場合、もしくはすでにある就業規則を変更した場合、14 日以内に所轄の労働基準監督署長に届け出て、その承認を得なければならない。

【イ】
常時10 人以上の労働者を使用する事業場の使用者は、その労働者のうち大半がパートタイマーであっても、就業規則を定めて所轄の労働基準監督署長に届け出なければならない。

【ウ】
使用者は、就業規則を作成した場合、常時事業場の見やすい場所に掲示する方法では足りず、全労働者に配布する方法によって周知させなければならない。

【エ】
使用者は、就業規則を作成した場合、もしくはすでにある就業規則を変更した場合、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。就業規則の届け出期限の定めはないため、不適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。就業規則は、常時事業場の見やすい場所に掲示する必要がありますが、個別の書面交付までは不要であるため、不適切です。

エ:不適切。就業規則は労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聴取すればよく、同意は不要なので、不適切です。

【過去問】令和4年度 第24問(労働基準法・就業規則)

問題

Q.就業規則に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10 分の1を超えてはならない。

【イ】
常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業規則に記載する事項について、退職手当の定めをしない場合には、解雇の事由を含めて、退職に関する事項を記載する必要はない。

【ウ】
常時10人以上の労働者を使用する使用者が就業規則を作成して届出をする際には、当該事業場に労働組合がない場合は、当該事業場の労働者の過半数を代表する者が当該就業規則の内容に同意した旨を記載した書面を添付しなければならない。

【エ】
使用者は、就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し又は備え付けることによって周知しなければならない。就業規則を確認できるパソコン等を常時各作業場に設置して周知する場合には、別途、労働者に対して就業規則を書面にて交付しなければならない。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。選択肢の通りです。

イ:不適切。退職に関する事項は、絶対的必要記載事項に該当するため、不適切です。

ウ:不適切。就業規則は労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聴取すればよく、同意は不要なので、不適切です。

エ:不適切。就業規則は、常時事業場の見やすい場所に掲示する必要がありますが、個別の書面交付までは不要であるため、不適切です。

【過去問】平成30度 第24問(労働基準法・労働契約)

問題

Q.労働契約の期間に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約については考慮しないものとする。

【ア】 
期間の定めのない労働契約を締結している労働者については、いかなる場合でも定年年齢まで解雇することはできない。

【イ】
期間の定めのない労働契約を除き、1年を超える労働契約は締結できない。

【ウ】
期間の定めのない労働契約を除き、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の期間は、最長5年である。

【エ】
期間の定めのない労働契約を除き、薬剤師の資格を有し、調剤業務を行う者との間に締結される労働契約の期間は、最長3年である。

解答・解説

正解:ウ

ア:不適切。天災事変などで事業継続が不可能になった場合などは、解雇することができるため、不適切です。

イ:不適切。有期雇用契約の契約期間は「3年」が原則であるため、不適切です。

ウ:適切。選択肢の通りです。

エ:不適切。薬剤師のような高度な専門的な知識を有する者の契約期間は「5年が上限」であるため、不適切です。

【過去問】平成29度 第24問(労働基準法・労働契約)

問題

Q.労働契約の締結に際しての労働基準法に基づく労働条件の明示義務に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
使用者は、期間の定めがあって満了後に更新する場合があるときは、「労働契約を更新する場合の基準に関する事項」を書面の交付によって明示しなければならない。

【イ】
期間の定めのない労働契約を除き、1年を超える労働契約は締結できない使用者は、「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働時間を超えて労働させる程度」については、書面の交付によって明示しなければならない。

【ウ】
使用者は、「表彰に関する事項」については、それに関する定めをする場合であっても、そのことを明示する必要はない。

【エ】
使用者は、労働者に適用される労働条件が規定されている部分を明らかにした就業規則を交付したとしても、当該事項の明示義務を果たしたことにはならない。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。選択肢の通りです。労働基準法の絶対的明示事項の1つになっています。

イ:不適切。所定労働時間は絶対的必要記載事項に定められていますが、「所定労働時間を超えて労働させる程度」は含まれていないため、不適切です。

ウ:不適切。表彰は相対的必要記載事項に含まれているため、定めをする場合は記載する必要があるため、不適切です。

エ:不適切。使用者は、労働者に適用される労働条件が規定されている部分を明らかにした就業規則を交付すれば、当該事項の明示義務を果たしたことになるため、不適切です。

【過去問】平成28度 第22問(労働基準法・労働契約)

問題

Q.労働契約に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
使用者が、労働者との間で、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約を結んだ場合、労働基準法で定める基準より労働者に有利な部分も含めて、当該労働契約は無効となる。

【イ】
使用者は、満60歳以上の労働者との間で、年の契約期間の労働契約を締結することができる。

【ウ】
使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を定めることはできないが、労働者が使用者に損害を被らせる事態に備えて、損害賠償額を予定することはできる。

【エ】
労働基準法は、使用者が労働者に金銭を貸すこと、及び貸金債権と賃金を相殺することを一律に禁止している。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。労働基準法の基準に満たない労働条件のみ「無効」となるため、不適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。最長5年まで契約できます。

ウ:不適切。労働者が使用者に損害を被らせた場合、実際の請求は可能ですが、事前に損害賠償額を予定することはできないため、不適切です。

エ:不適切。労働基準法は、使用者が労働者に金銭を貸すこと、貸金債権と賃金を相殺することを禁止していないため、不適切です。

【過去問】令和3年度 第27問(労働基準法・解雇)

問題

Q.解雇に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
使用者は、産前産後の女性労働者が労働基準法第65条の規定によって休業する期間及びその後30 日間については、同法第81条の規定によって平均賃金の1,200日分の打切補償を支払うことで、解雇することができる。

【イ】
使用者は、事業場に労働基準法又は労働基準法に基づいて発する命令に違反する事実がある場合において、労働者が、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。

【ウ】
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合でも解雇することはできない。

【エ】
使用者は、労働者を解雇しようとする場合、少なくとも21日前にその予告をしなければならず、21日前に予告をしない場合には、21日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。「産前産後の休業期間及びその後30日間」は解雇することができないため、不適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。「業務上傷病により休業する期間及びその後30日間」は解雇することはできませんが、例外として、後半に記述する場合は解雇することが認められているため、不適切です。

エ:不適切。解雇予告は「少なくとも30日前に解雇予告をする」もしくは「30日以上の平均賃金を支払う」であるため、不適切です。

【過去問】平成29年度 第25問(労働基準法・解雇)

問題

Q.解雇に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
会社が定める試用期間中の労働者については、労働基準法第20 条に定める解雇予告に関する規定は適用されることはない。

【イ】
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前の予告をしなければならないが、労働者側からする任意退職についても、就業規則その他に別段の定めがない場合には、少なくとも30日前の予告が必要である。

【ウ】
日々雇い入れられる者については、その後引き続き使用されるに至った場合でも、労働基準法第20 条に定める解雇予告に関する規定が適用されることはない。

【エ】
労働者の責に帰すべき事由により、使用者が労働者を即時解雇する意思表示をし、当日所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日以降その認定を受けたときでも、その即時解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生する。

解答・解説

正解:エ

ア:不適切。試用期間においても、14日を越えて引き続き使用される場合は予告が必要であるため、不適切です。

イ:不適切。前半は正しいですが、労働者からの退職の申し出は「2週間前」であるため、不適切です。

ウ:不適切。日日雇い入れられる者でも、1か月を超える場合は予告が必要であるため、不適切です。

エ:適切。選択肢の通りです。

今回のおさらい

今回は「労働基準法(全般、就業規則、労働契約、解雇)」を勉強しました。

就業規則、解雇が出題されやすいですが、深追いはせず、基本的な部分を抑えるようにしましょう。

労働基準法(全般、就業規則、労働契約、解雇)

  1. 労働基準法は、労働条件の最低基準を定めることで、労働者を保護する法律。基準に満たない労働条件は無効で、労働基準法に定める基準が適用される。一方、労働者に有利な条件については有効である。
  2. 就業規則は、労働者の労働条件等を定めた社内規則。常時10人以上(パート含む)の事業所において、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聴取して作成する(同意は不要)。また、常時事業場の見やすい場所に掲示する(個別の書面交付までは不要)。
  3. 解雇をする場合は「少なくとも30日前に解雇予告をする」もしくは「30日以上の平均賃金を支払う」のいずれかが必要。ただし、日日雇い入れられる者、2ヶ月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者、試の使用期間中の者は除外される。

中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。

できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。

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この記事を書いた人

中小企業診断士(令和2年度合格)

令和元年度、1次試験合格(通信講座)
その年の2次試験はあえなく不合格。
翌年は3ヶ月の完全独学で2次試験に合格。

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