企業経営理論【38】マーケティング・リサーチ

中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。

今回は「マーケティング・リサーチ」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。

出題範囲との関係

【経営戦略論】

【組織論】

【マーケティング】

・マーケティングの基礎概念
マーケティング計画と市場調査
・消費者行動
・製品計画
・製品開発
・価格計画
・流通チャネルと物流
・プロモーション
・応用マーケティング
・その他マーケティング論に関する事項

今回の学習キーワード

  • 探究的調査、記述的調査、因果的調査
  • リードユーザー法
  • 1次データ、2次データ
  • 定性調査(質的研究)、定量調査(量的研究)
  • 質問法、観察法、実験法
  • エスノグラフィー調査
  • データ尺度(名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度)
  • 相関分析、クラスター分析、コンジョイント分析、因子分析
  • モチベーション・リサーチ
  • 有意差検定、t検定、分散分析、カイ二乗検定

試験対策

「探索的調査、リードユーザー法」「定性調査と定量調査」「エスノグラフィー調査」「データ尺度」「有意差検定」が出題されやすいです。

目次

マーケティングリサーチの流れ

マーケティングの成果を上げるためには、対象となる消費者を理解する必要があります。

消費者を理解する有力な方法がマーケティングリサーチです。

最初に、マーケティングリサーチの流れを勉強していきましょう。

マーケティングリサーチの出発点は、どのような課題を解決するためにリサーチを実施するのかといった「リサーチ目的の明確化です。

リサーチの目的を明確化した後は、どのようなデータを収集すべきかの「データ種類の確認を行います。

収集すべきデータの種類を確認した後は、リサーチしたい対象者を抽出する「標本の抽出を行い、実際にデータ収集」し、得られたデータをもとに課題解決のための「データ分析」を実施していきます。

では、詳細を勉強していきましょう。

<STEP1>リサーチ目的の明確化

マーケティングの出発点は、どのような課題を解決するためにリサーチを実施するのかといった「リサーチ目的の明確化」です。

リサーチ目的には以下の3つがあります。時間軸を意識して理解するとわかりやすいと思います。

リサーチの目的

  • 探究的調査
    • 問題点の明確化や仮説構築のための予備的情報を集めるための調査
    • 観察法、インタビュー法、リード・ユーザー法(魅力あるイノベーションを起こす人)などがある
  • 記述的調査
    • マーケティングの問題点・現状・市場について、より明確に記述するための調査
    • ある製品の市場潜在性や購入者の人口動態や行動などを調査する
  • 因果的調査
    • 原因と結果についての仮説を検証するための調査

<STEP2>データの種類

リサーチの目的を明確化した後は、どのようなデータを収集すべきかの「データの種類」を確認します。

試験対策では、1次データと2次データを理解しておきましょう。

ポイントは「最初に、2次データの収集を優先し、目的に沿うデータがない場合に、1次データを収集する」です。

データの種類(1次データと2次データ)

  • 1次データ
    • ある目的のために、自ら調査を企画して、新たに収集したデータ
    • 調査期間が長く、コストがかかる一方で、目的に応じたデータ、最新データを入手できる
  • 2次データ
    • 他の目的のためにすでに収集されているデータ
    • 組織に蓄積されている内部データ、図書館や業界団体など組織外に存在している外部データがある
    • 調査期間が短く、コストは安い一方で、データが陳腐化しやすい

<STEP3>標本の抽出

データの種類を確認した後は、リサーチしたい対象者を抽出する「標本の抽出」になります。

リサーチは知りたい母集団から一定数の標本を抽出する「標本調査」が基本になります。一方、母集団の全数にリサーチすることを「全数調査(悉皆調査)」と呼びます。

標本の抽出方法として、以下の抽出法を理解しておきましょう。

単純無作為抽出法と有意抽出法の違いを確認した後に、単純無作為抽出法の代用として、系統抽出法と多段抽出法を理解しておきましょう。

標本の抽出

  • 単純無作為抽出法(ランダムサンプリング)
    • 母集団を構成するすべての人々から、乱数の値にしたがって、標本に含む人を選ぶ方法
  • 系統抽出法
    • 母集団を構成するすべての人々を順番に並べた上で、スタート番号を無作為に選び、その後は等間隔で系統的に標本に含む人を選ぶ方法
    • 単純無作為抽出を代用するのに使われる
  • 多段抽出法
    • 無作為抽出を、何度かの段階に分けて行う方法。
    • 第一段階で地域を無作為抽出し、第二段階でその地域に居住する個人をさらに無作為抽出する、などの二段抽出のパターンが多い
  • 有意抽出法(有意サンプリング)
    • 選択者が設定したいくつかの条件に基づいて標本を抽出する方法

<STEP4>データの収集

実際に抽出した標本に対して、リサーチを実施し、データを収集していきます。

リサーチには「定性調査(質的研究)」と「定量調査(量的研究)があります。

定性調査は仮説の構築に活用される調査手法です。ただし、対象者を絞っているため、代表性はない点に注意が必要です。一方、定量調査は、仮説の検証に活用される調査手法です。

具体的な調査手法としては「質問法」「観察法」「実験法」があります。

具体的な調査手法

  • 質問法
    • 面接法
      • グループインタビュー(5~6名)やデプスインタビュー(1名)が代表例
      • 長所: 写真や広告を利用したり、相手の反応に応じた質問ができる
      • 短所: 地理的に広い範囲からサンプルを収集する場合はコストがかかる
    • 電話法
      • 長所:低コストで最も短期間で実施でき、広い地域に到達できる
      • 短所:調査時間が短いため、調査主旨の説明が不足し、回答者に不信感が生じる場合がある
    • 郵送法
      • 長所:比較的少ないコストで多くの回答者に到達できる。匿名性から本音の情報が入手しやすい
      • 短所:調査主旨に合致した郵送リストを入手することが難しい
    • 留置法
      • 長所:調査員が記入漏れや無回答を点検できる。回答内容の信頼性が高い
      • 短所:調査対象者とは異なる者が記入したり、調査員によるバイアスがかかる可能性がある
  • 観察法
    • 小売業の動線調査、競合店調査、通行量調査など
    • 調査員が自ら体験する自己観察も含む
    • エスノグラフィー調査
      • 調査員が生活者の家庭に入り、生活しながら記録・研究するもの
  • 実験法
    • ある変数を操作することで、別の変数への影響度(効果)を調査する方法
    • スプリットラン
      • 広告などを地域ごとに変え、反応を探るもの方法

また、定量調査で得られるデータは、その性質によって、4つのタイプに分かれます。

これを「データ尺度」と呼びます。

データ尺度

  • 名義尺度
    • データを区別するための物差し
    • 例:性別(男性=1、女性=2)
  • 順序尺度
    • データに順序関係があり、大小関係を比較できるもの
    • 例:評価(大変満足=5 ~ 非常に不満=1)
  • 間隔尺度
    • 順序のあるデータ間に等間隔の差があるもの
    • 数値の「0」が存在しない。
    • 例:西暦(2001年、2002年…)
  • 比率尺度
    • 順序のあるデータに等間隔の差があり、比率にも意味があるもの
    • 数値の「0」が存在する
    • 例:金額(0円、1,000円…)

なお、名義尺度と順序尺度を「質的データ」、間隔尺度と比率尺度を「量的データ」と呼びますので、あわせて理解しておきましょう。

<STEP5>データの分析

データを収集した後は、データを分析していきます。

試験対策では「代表的な分析手法」「モチベーション・リサーチ」「有意差検定」の3つについて、出題頻度が高いものを押さえておきましょう

代表的な分析手法には「相関分析」「クラスター分析」「コンジョイント分析」「因子分析」などがあります。

代表的な分析手法

  • 相関分析
    • 2つのデータの相関関係(相関係数)を分析する手法。
    • 因果関係は分からない点に注意する
  • クラスター分析
    • 情報をいくつかの集団(クラスター)に分ける分析手法
  • コンジョイント分析
    • 属性の異なる仮説的製品を提示し、順位付けさせることで、各属性の重要度を決定する分析手法。
    • 新製品など、効果的な属性の組み合わせを見つけ出す
  • 因子分析
    • 複数の項目の相関関係を分析し、背後に潜む共通要因を抽出する分析手法

また、面接法などの定性調査の分析方法として「モチベーション・リサーチ」があります。

モチベーション・リサーチとは「ある商品の購買を動機づけている意識的・無意識的な心理的要因を探り出す目的で行う調査」をいいます。具体的には、以下のような手法があります。

モチベーション・リサーチ

  • 語句連想法
    • いくつかのキーワード(語句や単語、フレーズなど)を対象者に提示して、最初に連想される言葉を回答させる手法
  • 第三者技法
    • 「第三者(例:一般的な主婦)は、ある事柄に関してどのように考えているのか」という質問を投げかけて、回答させる手法
  • 文章完成法
    • 未完の文章を与えて、単語や句を補って完成させる手法
  • 物語法
    • 対象者に、ある物語上で第三者がどのような反応をするかを回答してもらう手法

最後に、有意差検定(統計的検定)も理解しておきましょう。

有意差検定(統計的検定)とは「性別である商品の満足度を比較したときに、そのスコア差が統計的に見て有意な差があるかを判断する手法」です。代表的なものに、以下の手法があります。

有意差検定(統計的検定)

  • t検定
    • 2つのグループの「平均値」に統計的有意があるかを検定する方法
  • 分散分析
    • 3つ以上のグループの「平均値」に統計的有意があるかを検定する方法
  • カイ二乗検定
    • 2つのグループの「度数」に統計的有意があるかを検定する方法

【過去問】令和6年度 第39問(マーケティング・リサーチ)

問題

Q.マーケティング・リサーチに関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】
サーベイ法では、間隔尺度、序数尺度、比例尺度、名義尺度によってデータが収集される。このうち、調査対象者の選択した回答番号が数字としての意味を持たず、回答番号の違いが単に対象者の質的な違いを分類するだけの意味を持つ尺度は間隔尺度である。

【イ】
自社ビールの売上が落ちてきている原因の1 つとして「テイストが軽すぎる」という仮説が立てられた場合、自社ビールのテイストに関する消費者データを収集して分析し、仮説を明らかにしようとする調査をインサイト・リサーチと呼ぶ。

【ウ】
消費者の発言データは、コーディングにより頻度を算出したり、コード間の結びつきを図示したりするなどして解釈が行われる。データの解釈では、分析者の主観を排除し、客観的に結果を示すことが重視される。

【エ】
データ収集において、リサーチ対象となる母集団の全てを対象に調査を実施する全数調査に対し、母集団の一部を標本として抽出して調査を実施する悉皆(しっかい)調査では、母集団の属性を反映した標本を抽出することが重視される。

【オ】
マーケティング・リサーチで収集および利用されるデータの中で、自社の売上や顧客情報といったすでに社内に蓄積された内部データは一次データに該当し、他の組織が収集した外部データは二次データに該当する。

解答・解説

正解:ウ

ア:不適切。回答番号が数字としての意味を持たず、回答番号の違いが単に対象者の質的な違いを分類するのは「名義尺度」であるため、不適切です。

イ:不適切。インサイト・リサーチとは顧客の本音を探り出す調査であり、仮説を検証する調査ではなたいめ、不適切です。

ウ:適切。選択肢の通りです。

エ:不適切。母集団の一部を標本として抽出して調査を実施するのは「標本調査」です。悉皆調査とは全数調査の別名称であるため、不適切です。

オ:不適切。1次データとは、ある目的のために、自ら調査を企画して、新たに収集したデータです。自社内に既に蓄積されたデータも2次データに該当するため、不適切です。

【過去問】令和6年度 第40問(マーケティング・リサーチ)

問題

Q.下図は、「自分でわかっている」自己と「他人がわかっている」自己の一致・不一致を、窓のように見える4つの枠に分類したジョハリの窓と呼ばれる概念図である。企業が消費者の自己に関するデータを収集する場合、どのリサーチ手法が、どの窓の自己データ収集において有効かを記した記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

【ア】 
インタビュー調査は、どの窓の自己データの収集についても有効ではない。

【イ】
行動観察調査は、「開放の窓」についてのデータを得るために有効ではない。

【ウ】
行動観察調査は、「盲点の窓」についてのデータを得るために有効である。

【エ】
定量的なアンケート調査は、「開放の窓」と「盲点の窓」についてのデータを得るために有効である。

【オ】
定量的なアンケート調査は、「未知の窓」についてのデータを得るために有効である。

解答・解説

正解:ウ

ア:不適切。インタビュー調査は、どの窓の自己のデータを得るためにも有効であるため、不適切です。

イ:不適切。行動観察調査を実施することで、「解放の窓」を理解することに役立つため、不適切です。

ウ:適切。行動観察調査は、無意識な行動を観察・分析することに役立つため、適切です。

エ:不適切。定量的なアンケート調査は、自分が無意識に行っていることは回答できないため、「盲点の窓」についてのデータを得ることが難しいため、不適切です。

オ:不適切。定量的なアンケート調査は、自分が無意識に行っていることは回答できないため、「未知の窓」についてのデータを得ることが難しいため、不適切です。

【過去問】令和3年度 第3問(マーケティング・リサーチ)

問題

Q.マーケティング・リサーチに関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
アイトラッキング、fMRI (機能的磁気共鳴画像)、GPS などを通して収集される消費者の意識化されない活動データや言語化が難しい反応データは、消費者が回答するアンケートなどの意識データと併せて分析することで、より正確な調査結果を得ることができる。

【イ】
観察法、インタビュー法、リード・ユーザー法などの探索的調査では、それぞれ収集データの質が異なるため、原則として、探索的調査は調査目的に対して1つの方法で実施される。

【ウ】
新製品開発におけるニーズ探索において、実際に対象製品が使用される家庭にビデオを設置し、一定期間、当該製品の使用状況を観察する調査はギャング・サーベイと呼ばれる。

【エ】
量的研究では、データ収集を進めながら徐々に事象の原因や原因の背後に潜む問題点を精緻化していくといった帰納的な方法で仮説を作り出していくのに対して、質的研究では、過去の研究蓄積や理論に基づいて演繹的に仮説を立案し、実験や調査を通して仮説が検証される。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。選択肢の通りです。

イ:不適切。探索的調査は調査目的に対して1つの方法で実施しなくてもよいため、不適切です。

ウ:不適切。表記の調査方法は「エスノグラフィー調査」に関するものであるため、不適切です。

エ:不適切。量的研究(定量調査)と質的研究(定性調査)の説明が逆になっているため、不適切です。

【過去問】令和2年度 第32問(設問1)(マーケティング・リサーチ)

問題

Q.次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 文具の製造・販売を行う中小企業のA社は、従来、売上の多くを大手文具メーカー向けの多様なOEM 製品からあげてきた。しかし社会のデジタル化が進む一方で、アナログな文具の人気が高まりつつある昨今の市場環境を鑑みて、A社では今後自社ブランドによる文具の製造・販売を拡大していくことを検討していた。
 A社では、働く若い女性や女子学生が、オフィスや自宅、学校で使用する文具が有望ではないかとかねてより考えており、このセグメントにおけるニーズを探り、確認するためのさまざまな調査を実施することを計画していた。
 またこれと並行して、同セグメントに向けて自社ブランドによる製品を発売する場合、どのような製品ミックスとすべきかについても、検討を重ねていた。

(設問1)
文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
オフィスで働く数名の若い女性を対象としたフォーカスグループ・インタビューを実施することにより、このセグメントのニーズに関する一般論を導き出すことができる。

【イ】
オフィスや自宅、学校における文具の利用に関するエスノグラフィー調査を実施したところ、フォーカスグループ・インタビューとは異なる結果が得られた。そのため両者の結果を考慮して製品開発を進めることにした。

【ウ】
調査には、質問票を用いる方法や機械装置を用いる方法などがある。後者には調査対象者の身体的反応を測定する方法なども含まれるが、これにより得られるデータは複雑であるため、データの分析や解釈、調査結果から導かれる戦略策定などは、リサーチャーに任せるべきである。

【エ】
調査を実施する前に、このようなニーズに関して社外ですでに行われた調査や報告などA社にとっての一次データを入手できないか、十分に検討する必要がある。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。フォーカスグループ・インタビューは探索型調査として、仮説を構築するための手法で一般論を導き出すものではないため、不適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。戦略策定の策定はリサーチャーに任せるだけでなく、発注者側も検討すべき領域であるため、不適切です。

エ:不適切。記載のデータは、1次データではなく、2次データになるため、不適切です。

【過去問】令和元年度 第32問(設問2・設問3)(マーケティング・リサーチ)

問題

Q.次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

製品開発を効果的に行うために、多くの場合、企業担当者は製品開発プロセスを段階的に管理・実行している。それぞれの段階において、調査や実験を行いそれぞれの分析結果に基づき意思決定を繰り返すことで、新製品の成功確率を高めるよう努めている。

(設問2)
文中の下線部②の調査や実験におけるデータ収集方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
観察法には、実験的条件下の調査対象者の行動を観察する方法や、調査者自らが体験しその体験自体を自己観察する方法が含まれる。

【イ】
グループインタビューの司会者は、複数の参加者と均一な距離を保つことが求められる。共感を示したり、友好的関係を築こうとしたりしないほうがよい。

【ウ】
デプスインタビューでは、考え方や価値観、行動スタイル、嗜好などを聞くことが可能である。また、グループインタビューと比較すると、他の参加者の影響を受けにくく、一人当たりの調査コスト(金銭および時間)は低い。

【エ】
リード・ユーザー法は、例えば、市場の規模や競合に対する競争力を確認するために、主として検証的調査で用いられる。

解答・解説

正解:ア

ア:適切。選択肢の通りです。

イ:不適切。司会者が共感を示したり、友好的関係を築くことで、対象者が話しやすくなるため、不適切です。

ウ:不適切。デプスインタビューのほうが一人当たりの調査コストが高くなるため、不適切です。

エ:不適切。リード・ユーザー法は探索的調査で活用されるため、不適切です。

(設問3)
文中の下線部③の分析方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
2 つの要素間の因果関係は、相関係数を算出することによって確認できる。

【イ】
異なる性質を持つ対象が混在しているとき、クラスター分析を用いて、似ている対象から構成される相互に排他的なグループに分類することがある。

【ウ】
順序尺度で測定された回答の集計では、一般的に、中央値と平均値が算出される。

【エ】
例えば、特定店舗での消費金額に男女で差があるのかを確認したいときには、男女それぞれが消費する金額の平均値を求め、それらの平均値の間に統計的有意差があるといえるのかを、カイ二乗検定を用いて調べるとよい。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。相関係数では、因果関係を測定することはできないため、不適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。順序尺度(5段階評価など)では、分布をみることが一般的であり、中央値を見ることは少ないため、不適切です。

エ:不適切。2グループの平均値の有意差を検定するのは「t検定」であるため、不適切です。

【過去問】平成28年度 第29問(設問1・設問2)(マーケティング・リサーチ)

問題

Q.次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

顧客が求める価値を提供し、継続的な関係を築くために、多くの企業はマーケティング・リサーチを行い、得られたデータから顧客についての深い洞察を得ている。その手法は多様化している。例えば、顧客の生活に入り込むなどして観察を行ったり、マーケティング刺激に対する眼球の動きや脳内の血流を測定したりするなど、文化人類学や脳科学の手法も積極的に取り入れている。

(設問1)
文中の下線部①の「マーケティング・リサーチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
売上高、利益やGRP(グロス・レイティング・ポイント)などのマーケティング変数は、間隔尺度に含まれる。

【イ】
顧客の意見や市場のニーズを抽出するために、コールセンターやWebサイトなどに寄せられるユーザーの意見を用いてデータマイニングを行うことは、一般的に有効である。

【ウ】
質問票の作成に際し、例えば「新しい清涼飲料水には、あと味がすっきりしていることや健康促進効果があることが望ましい」という詳細な選択項目を用意することが必要である。

【エ】
調査対象とする課題が明確になったら、製造業の場合、担当者は自社に適した最新のデータを獲得するために一次データ(プライマリーデータ)の収集から始めるのが一般的である。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。間隔尺度ではなく、比率尺度に該当するため、不適切です。

イ:適切。選択肢の通りです。

ウ:不適切。調査票では「1つの質問には1つのこと」という原則があります。選択肢の場合は「味がすっきり」と「健康促進効果」の2つのことを聞いているため、不適切です。

エ:不適切。1次データではなく、2次データが正しいため、不適切です。

(設問2)
文中の下線部②の「顧客の生活に入り込むなどして観察」を行う調査法として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
エスノグラフィーによる調査

【イ】
セントラル・ロケーション・テスト

【ウ】
ニューロ・マーケティングによる調査

【エ】
フォーカス・グループ・インタビュー

解答・解説

正解:ア

エスノグラフィー調査とは「調査員が生活者の家庭に入り、生活しながら記録・研究する手法」です。そのため、アが正解になります。

今回のおさらい

今回は「マーケティング・リサーチ」を勉強しました。

「リードユーザー法」「定性調査と定量調査」「エスノグラフィー調査」「データ尺度」「有意差検定」などが出題されやすいです。あまり範囲を広げずに、基本的な部分を押さえておきましょう。

マーケティング・リサーチ

  1. リサーチの目的として「探索的調査」「検証的調査」「因果的調査」がある。リードユーザー法は探索的調査に該当する。なお、リサーチの順序として、最初に2次データの収集を優先し、目的に沿うデータがない場合に、1次データを収集する。
  2. 調査手法には「質問法」「観察法」「実験法」がある。観察法の中でも、調査員が生活者の家庭に入り、生活しながら記録・研究する調査を「エスノグラフィー調査」という。また、集めたデータは「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比率尺度」に分類される。
  3. データ分析手法には「相関分析」「クラスター分析」「コンジョイント分析」「因子分析」などがある。統計的検定とは、グループ間のスコア差が統計的に有意であるかを測定する手法である。2グループの平均値を比較する「t検定」、度数を比較する「カイ二乗検定」が有名である。

中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。

できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。

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この記事を書いた人

中小企業診断士(令和2年度合格)

令和元年度、1次試験合格(通信講座)
その年の2次試験はあえなく不合格。
翌年は3ヶ月の完全独学で2次試験に合格。

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