1回「20分」で、中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。
今回は「企業活動を理解する」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。
出題範囲との関係
【経営戦略論】
・経営計画と経営管理
・企業戦略
・成長戦略
・経営資源戦略
・競争戦略
・技術経営(MOT)
・国際経営(グローバル戦略)
・企業の社会的責任(CSR)
・その他経営戦略論に関する事項
【組織論】
【マーケティング】
今回の学習キーワード
- ゴーイング・コンサーン(継続企業)
- オープンシステム
- ステークホルダー(利害関係者)
- 経営資源(有限資源、無限資源)
- 情報的経営資源(見えざる資産)
試験対策
「情報的経営資源(見えざる資産)」が定期的に出題されています。種類と3つの特徴を理解しておきましょう。
企業活動とは
最初に、企業活動の全体像を理解しましょう。企業活動を整理すると、以下の図になります。
企業活動とは、社外から調達したものに「付加価値を創造」して、社外に提供していく一連の活動をいいます。
企業活動の大前提
企業活動の大前提として「ゴーイング・コンサーン」と「オープンシステム」があります。
企業は一度設立したら、継続的に存続していくことが求められます。これを「ゴーイング・コンサーン(継続企業)」といいます。
また、企業が存続していくためには、企業を社外の環境と適合していく「オープンシステム」と捉えて、環境に適応していく必要があります。
なお、企業を取り巻く社内外の利害関係者を「ステークホルダー」と呼びます。
具体的には、「株主」「従業員」「消費者」「取引先」「金融機関」「政府」「地域社会」などがステークホルダーになります。
経営資源
企業活動を行うには、経営資源が必要になります。
経営資源は、一般的に「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われます。
経営資源の種類
経営資源は「有限資源」と「無限資源」に分類できます。さらに無限資源は、社内・社外に分解されます。
また、経営資源を「汎用性と特殊性」の視点で理解しておくと、2次試験にも活用できます。
- 汎用性が高い経営資源
- モノ・カネなどの経営資源
- 質より量が競争優位の源泉になりやすい
- 模倣が容易であるため、一時的な競争優位になりやすい
- 特殊性が高い経営資源
- 情報などの目に見えない経営資源。「情報的資源(見えざる資産)」とも呼ばれる
- 持続的な競争優位の源泉になりやすい
また、情報的資源には、以下の3つの特徴があります。
情報的資源(見えざる資産)の特徴
- 自然に蓄積される
- 多重利用できる
- 何度使っても無くならない
情報的資源(見えざる資産)は、シナジー効果を発揮しやすく、模倣困難性が高いことから、競争優位を生み出す源泉となりやすいです。
経営戦略論の「リソース・ベースド・ビュー」「VRIO分析」にもつながる論点ですので、しっかり覚えておきましょう。
【過去問】令和6年度 第2問(経営資源)
問題
Q.伊丹敬之の提唱する「見えざる資産」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【ア】
見えざる資産とは、「ヒト・モノ・カネ・情報」以外で企業の有する資産を総称した概念である。
【イ】
見えざる資産とは、具体的には技術やノウハウ、組織風土を指し、目に見える価値であるブランドは含まれない。
【ウ】
見えざる資産は、いったん出来上がるとさまざまな形で多重に利用されることはない。
【エ】
見えざる資産は、企業と外部との間の情報の流れだけではなく、企業内部の情報の流れからも生じる。
【オ】
見えざる資産は、競争上の差別化の源泉にはなりにくい性質を有する。
解答・解説
正解:エ
ア:不適切。見えざる資産には「情報」が含まれるため、不適切です。
イ:不適切。「ブランド」は見えざる資産に含まれるため、不適切です。
ウ:不適切。見えざる資産の特徴として、「多重利用できる」があるため、不適切です。
エ:適切。 見えざる資産には、「技術」「ノウハウ」「顧客情報」といった企業内部からも形成されるため、適切です。
オ:不適切。見えざる資産は、競争上の差別化の源泉にはなりやすいため、不適切です。
【過去問】平成30年度 第2問(経営資源)
問題
Q.経営資源の 1 つとして区別される情報的経営資源に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【ア】
企業活動における仕事の手順や顧客の特徴のように、日常の業務活動を通じた経験的な効果として蓄積される経営資源は、情報的経営資源には含まれない。
【イ】
企業活動における詳細なマニュアルや設計図は、熟練やノウハウなどの情報的経営資源と比較して模倣困難性は高くない。
【ウ】
企業にとって模倣困難性の低い情報的経営資源が競争にとって重要ならば、特許や商標のような手段で法的に模倣のコストを高める必要性は高くない。
【エ】
企業の特定の事業分野における活動で蓄積された情報的経営資源は、その事業に補完的な事業分野でしか利用できない。
解答・解説
正解:イ
ア:不適切。「顧客の特徴」は情報的資源に含まれるため、不適切です。
イ:適切。「マニュアル」や「設計図」は見える化されており、目に見えない熟練やノウハウよりも模倣困難性が低いです。
ウ:不適切。模倣困難性が低いが、競争にとって重要ならば、模倣コストを高める必要があるため、不適切です。
エ:不適切。 情報的資源は多重利用できるため、多くの事業分野で活用することができます。そのため、不適切です。
【過去問】平成24年度 第3問(経営資源)
問題
Q.現代の企業において、経営資源の利用と蓄積は、経営戦略の策定と実行にとって重要である。経営資源は、通常、人的資源、物的資源、資金、情報的資源に区別される。情報的資源に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【ア】
企業活動における仕事の手順や顧客の特徴のように、情報的資源は日常の企業活動を通じて経験的な効果として蓄積される。
【イ】
企業活動における設計図やマニュアルのように言語や数値化されているような情報は、熟練やノウハウなどよりも模倣困難性が高くない。
【ウ】
企業にとって模倣困難性の低い情報的資源が競争にとって重要ならば、特許や商標のような手段で法的に模倣のコストを高める必要はない。
【エ】
企業の特定の事業分野における活動で蓄積された情報的資源の利用は、その事業に補完的な事業分野に限定されない。
【オ】
企業のブランドやノウハウのような情報的資源は、その特殊性が高いほど企業に競争優位をもたらす源泉となる。
解答・解説
正解:ウ
ア:適切。情報的資源には「自然に蓄積される」特性があります。
イ:適切。「マニュアル」や「設計図」は見える化されており、目に見えない熟練やノウハウよりも模倣困難性が低いです。
ウ:不適切。模倣困難性が低いものの、競争にとって重要ならば、模倣コストを高める必要があるため、不適切です。
エ:適切。情報的資源は多重利用できるため、多くの事業分野で活用することができます。
オ:適切。情報的資源は、特殊性が高いほど、持続的な競争優位の源泉になりやすいです。
今回のおさらい
今回は「企業活動を理解する」を勉強しました。
経営資源に関する出題は、情報的資源(見えざる資産)に集中していますので、3要素は復習しておきましょう。
企業活動を理解する
- 企業活動は「付加価値を創造する」こと。企業はゴーイング・コンサーンが前提となる
- 企業はオープンシステムとして、ステークホルダー(利害関係者)との良好な関係を構築していく必要がある
- 経営資源には「有限資源」と「無限資源」がある。情報的資源(見えざる資産)は「自然に蓄積されて、多重利用できて、何度使っても無くならない」特性があり、競争優位の源泉になりやすい
中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。
できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。
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