中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。
今回は「組織のライフサイクル、官僚制組織、組織のコンティンジェンシー理論」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。
出題範囲との関係
【経営戦略論】
【組織論】
・経営組織の形態と構造
・経営組織の運営
・人的資源管理
・労働関連法規
【マーケティング】
今回の学習キーワード
- 組織のライフサイクル(起業者段階、共同体段階、公式化段階、精巧化段階)
- 官僚制組織
- 官僚制の逆機能(形式主義、目的の置換、繁文縟礼、セクショナリズム)
- 組織のコンティンジェンシー理論
- 機械的システム、有機的システム
- 分化と統合
- 情報処理モデル
- 組織スラック
試験対策
「組織のライフサイクル」「組織のコンティンジェンシー理論」は出題されやすいため、過去問で理解しておきましょう。
組織のライフサイクル
組織は誕生してから時間の経過とともに、経営課題や組織構造が変化していきます。
組織のライフサイクルモデルとは「組織の成長や規模拡大に応じて、組織の戦略・文化・管理方法等がどのように変化していくのかを説明するモデル」をいいます。
具体的には、以下の4つの段階に分かれますが、「規模拡大→官僚制組織→官僚制の逆機能→組織構造の動態化→組織の再活性化」の流れで理解しておきましょう。
1.起業者段階
創業者の創造性や革新性が重視され、管理活動は軽視される段階です。
この段階では「資源獲得と成長」が重視されます。
組織が成長を継続するためには、経営管理技術を持ったリーダーによって組織が統合される必要があります。
2.共同体段階
組織が徐々に大きくなり、人的資源の開発が重視される段階です。
この段階では「人的資源の開発」が重視されます。
組織が成長を継続するためには、リーダーが権限移譲を行い、リーダーが直接指示しなくても統制できる状態にしていく必要があります
3.公式化段階
組織の規模が大きく複雑になるのに伴い、組織の安定と統制のために、様々な規則や評価システムなど官僚的制度が必要になっていく段階です。
この段階では「組織の安定と統制のための体制整備」が重視されます。
規則やルールで統制していきますが、行き過ぎると「官僚制の逆機能」になりがちです。そのため、組織が成長していくには「官僚制の逆機能」を打破していく必要があります。
4.精巧化段階
官僚制の逆機能に対応し、組織を多数の部門に分割するとともに、プロジェクトチームなどにより柔軟性を得ようとする段階です。
この段階では「新たな環境適応のための資源獲得と成長」が重視されます。
組織が更に成長するには、安定性や効率性は維持しつつ、公式的な構造を一部解体し、プロジェクトチームやタスクフォースなどを導入しながら、起業者段階で設定された社会的使命を再度見つめ直し、組織を再活性化していく必要があります。
官僚制組織、官僚制の逆機能
組織のライフサイクルで、官僚制組織が登場しましたので、ここで勉強しておきましょう。
官僚制組織とは「個人能力の大小に依存せず、誰でも同じ成果が達成できる組織」をいいます。
専門的な訓練を受けた人間が規則に従って機械のように動く(=没主観的判断)ことで、目的を合理的・効率的に達成していく組織をいいます。
官僚制組織には、以下のような特徴があります。
官僚制組織の特徴
- 職務を専門的に分化する(分業する)
- 規則化された手続きを徹底する
- 文書による記録・伝達を徹底する
- 上意下達の指揮命令系統を持つ
- 専門的知識・技能を持つ人材を採用する
官僚制は効率を追求した組織ですが、過度に強くなりすぎると「官僚制の逆機能」というデメリットが生じます。
官僚制の逆機能
官僚制の逆機能が生じると、環境変化に対応できない、組織間にまたがる課題解決に対応できないなどのデメリットが顕在化します。
官僚制の逆機能の種類には、以下があります。
官僚制組織の逆機能
- 形式主義
- 規則の遵守に固執しすぎて環境の変化に対応できなくなってしまうこと
- 規則を守ることに固執しすぎて環境変化に対応できなくなった人のことを「訓練された無能」といいます。
- 目的の置き換え
- 目的と手段が逆転してしまうこと
- 繁文縟礼(はんぶんじょくれい)
- 規則や手続きが煩雑になりすぎて、業務の効率が低下してしまうこと
- セクショナリズム
- 組織全体の利益よりも自部署の利益を優先してしまうこと
組織のコンティンジェンシー理論
組織のコンティンジェンシー理論とは「外部環境の状況に応じて、望ましい組織の形態は異なる」という理論です。
状況が異なれば、適合する組織は異なるというのは、その通りですよね。
大きな流れは、安定的な環境では「機械的システム」、不安定な環境では「有機的システム」が有効というものです。
ここでは、ウッドワード、バーンズ&ストーカー、ローレンシュ&ロッシュの主張を理解しておきましょう。
ウッドワード
安定的な環境では「機械的システム」、不安定な環境では「有機的システム」が有効であると主張しました。
機械的システムと有機的システム(ウッドワード)
- 機械的システム
- 安定的な環境に適するシステム
- 大量生産方式が適しており、全体が統制されたシステム
- 有機的システム
- 不安定な環境に適する
- 個別生産方式・装置生産が適しており、個人の裁量が重視されるシステム
バーンズ&ストーカー
外部環境が安定的な産業では、権限集権的な「機械的管理システム」が適しており、不安定な産業では、権限移譲が進んだ「有機的管理システム」が適していると主張しました。
機械的管理システムとして官僚制組織、有機的管理システムとしてプロジェクト組織やマトリクス組織をイメージすると分かりやすいと思います。
1次試験でも両者の違いを問う問題が出題されているため、イメージを掴んでおきましょう。
機械的管理システムと有機的管理システム(バーンズ&ストーカー)
- 機械的管理システム
- 機能的タスクの専門分化・分割
- 各タスクの抽象度が高い(全体目標との関係が遠い)
- 各役割の職務・権限および方法の明確化
- 階層トップへの知識の集中による階層構造の強化
- 組織内特有の知識・経験・スキルの強調
- 有機的管理システム
- 共通のタスクに対し、異なる知識・経験を基礎とする専門化
- 各タスクの具体度が高い(全体状況に結びついている)
- 横の相互作用を通じた各タスクの調整・再定義
- 水平的コミュニケーションによる相談と助言
- タスクそのものや優れた仕事をしようとする精神へのコミットメント
ローレンシュ&ロッシュ
組織の「分化」と「統合」という概念から組織の在り方を説明したものです。
不確実性が低い環境では「分化、統合の程度がともに低い」が、不確実性が高い環境では「分化、統合の程度がともに高くなる」と主張しています。
外部環境の不確実性が高まると、部門の分化が進み、そして分化から生じるコンフリクトを解決するために統合が必要となるとし、「良い組織は、高い分化と統合を実現している」と述べています。
不確実な環境への対応(情報処理モデル、組織スラック)
不確実性が増大する環境では、組織が処理すべき情報量よりも、組織が有する情報処理能力が上回る必要があります。そうしないと環境変化についていないためです。
ガルブレイスは「組織の情報処理能力を高めるには、不確実性を減らし、組織を構造化する必要がある」と分析し、組織を情報処理機構と捉えた「情報処理モデル」を提唱しました。
ブルブレイスは、情報処理モデルとして、「情報処理量の軽減」と「情報処理能力の向上」を主張しました。
ガルブレイスの情報処理モデル
- 情報処理量の軽減
- 組織スラック(企業が持つ余裕資源)の保有
- 自己完結型職務の形成(権限移譲して、自分で決められるようにする)
- 情報処理能力の向上
- 組織の情報処理システムの強化
- 水平的(横断的)組織の確立(プロジェクトチーム、タスクフォース)
- リエゾン(渉外担当者)の設置
また、組織スラックは試験で出やすい用語なので勉強しておきましょう。
組織スラックとは「組織における余裕資源」をいいます。余剰人員や在庫のことです。
適切な組織スラックを持つことで、以下のようなメリットがあります。
組織スラックを持つことのメリット
- 緊急事態への対応が可能になる
- 複数の利害関係者の調整が行える
- イノベーション遂行のための資源になりうる
- 新規行動案の探索をリスク選好的(リスク志向的)になりやすい
- 組織スラックが多く存在すると、コンフリクトが発生しにくくなる
組織スラックは、一見すると、非効率に見えますが、環境変化への対応力を高めるには、適度なスラック資源を持っておくことが重要です。
【過去問】令和6年度 第23問(組織のライフサイクル)
問題
Q.組織のライフサイクル仮説によれば、組織は発展段階に応じて直面する課題が異なる。組織のライフサイクルを起業者段階、共同体段階、公式化段階、精巧化段階に分けて考えるとき、それぞれの段階に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【ア】
起業者段階では、起業家の創造性や革新性が重視されるとともに外部からの資源獲得が優先されるが、組織の成長とともに経営管理を実行できるリーダーシップが求められるようになる。
【イ】
共同体段階では、組織メンバーの凝集性の向上を図るべくトップはリーダーシップを発揮するが、トップダウンによって部下のモラールダウンが生じないようにトップは権限委譲を進めることが求められる。
【ウ】
公式化段階では、さまざまな規則や手続きが導入され、公式的な調整によって安定性や効率性が追求されるようになるが、組織構造が複雑化するにつれて官僚制の逆機能が顕著に生じるようになる。
【エ】
精巧化段階では、安定性や効率性を省みず公式的な構造を解体するとともに、新たな成長機会を自ら発見するリーダーシップの発揮が課題となる。
解答・解説
正解:エ
ア:適切。選択肢の通りです。
イ:適切。選択肢の通りです。
ウ:適切。選択肢の通りです。
エ:不適切。 後半は正しいですが、安定性や効率性を維持しつつ公式的な構造を解体していくため、不適切です。
【過去問】令和4年度 第18問(組織のライフサイクル)
問題
Q.組織のライフサイクル仮説によると、組織は発展段階(起業者段階、共同体段階、公式化段階、精巧化段階)に応じた組織構造、リーダーシップ様式、統制システムをとる。また、組織の発展段階に応じて、組織で支配的となる有効性(組織がその目標を達成した程度)の指標は変化すると考えられる。
組織の発展段階の名称と、各段階で支配的な組織の有効性指標に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【組織の発展段階】
a 起業者段階
b 共同体段階
c 公式化段階
d 精巧化段階
【組織の有効性指標に関する記述】
①:この段階では、人的資源の開発が有効性指標として重要となり、経営者のリーダーシップの下で職場集団の凝集性とモラールを高めることが追求される。
②:この段階では、資源獲得と成長が組織の有効性指標として特に重視され、顧客や金融機関などの利害関係者と良好な関係を築くことに中心的な価値が置かれる。
③:この段階では、組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性が支配的な有効性指標となり、情報管理システムや業務上の規則と手続きが組織内で広く整備される。
④:この段階では、組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性と人的資源の開発を重視しつつ、新たな環境適応のための資源獲得と成長が追求される。
〔解答群〕
ア a-① b-② c-③ d-④
イ a-① b-④ c-② d-③
ウ a-① b-④ c-③ d-②
エ a-② b-① c-③ d-④
オ a-② b-① c-④ d-③
解答・解説
正解:エ
起業者段階では、組織を成長させるため「資源獲得と成長」が求めまれます。その後、共同体段階では、リーダーの権限を委譲していくための「人的資源の開発」。公式段階では、官僚的組織として「組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性」が求めれます。最後の精巧化段階では、組織を活性化させるために「環境適応のための資源獲得と成長」が求めれます。よって、正解はエになります。
【過去問】平成30年度 第21問(組織のライフサイクル)
問題
Q.組織の成長や変革に介入する経営コンサルタントにとって、企業組織のライフサイクルに応じた課題や特徴についての理解が必要になることがある。組織のライフサイクルを、起業者段階、共同体段階、公式化段階、精緻化段階に分けて考えるとき、それぞれの段階に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【ア】
持続的な成長を迎える共同体段階では、従業員は自身が共同体の一員であると強く感じるため、職務の割り当てが専門化され、階層化が進むとともに中間管理職への権限委譲が必要になってくる。
【イ】
精緻化段階では、官僚制のもたらす形式主義的な弊害を克服するために、場合によっては公式のシステムを単純化し、チームやタスクフォースを活用して小企業的な価値観や発想を維持するために組織全体に絶えず新しい挑戦や努力を推奨する必要が生じる。
【ウ】
創業者が創造力の高い技術志向の経営者の場合、起業者段階では従業員は非公式で非官僚主義的なコミュニケーションで管理されることが多い。初期の市場が成長し、それに伴い従業員が増加すると、財務管理などを含めた、組織全体を統率するリーダーシップを持った経営者が必要になる。
【エ】
組織の規模も大きくなり公式化段階になると、規則や手続き、管理システムの公式化が進み、戦略的意思決定や業務的意思決定をトップマネジメントに集権化する必要が生まれ、トップが各事業部門を直接コントロールするようになる。
解答・解説
正解:エ
ア:適切。共同体段階は、リーダーが権限移譲を行い、リーダーが直接指示しなくても統制できる状態にしていくことが必要であるため、適切です。
イ:適切。精緻化(=精巧化)段階では、プロジェクトチームなどで柔軟性を確保し、組織を活性化していく必要があるため、適切です。
ウ:適切。起業者段階では、経営管理技術を持ったリーダーによって組織が統合されていくい必要があるため、適切です。
エ:不適切。 公式化段階になると、規則や評価システムなど官僚的制度が進み、トップマネジメントは戦略的意思決定、ロワーマネジメントが業務的意思決定に関与するため、不適切です。
【過去問】平成28年度 第17問(組織のライフサイクル)
問題
Q.企業は比較的規模が小さい創業段階から成長して規模が大きくなるためには、一般に成長段階に応じて異なる経営上の課題を解決していかなければならない。組織の成長段階と克服すべき課題や有効性に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【ア】
企業が多数の機能部門を持つような規模に成長すると、経営者は次第に業務的決定から離れ、規則や手続きを整備し官僚制的な組織構造を構築する必要が生じる。
【イ】
強力なリーダーシップを持つ企業家によって設立された企業は、必要な資源を獲得するために資本家や顧客、労働者、供給業者などから正当性を獲得する必要がある。
【ウ】
創業段階を経て環境との安定的な関係の構築に成功した企業では、経営者は非公式なコミュニケーションを通じた統制から、次第に権限を委譲しつつ、公式の統制システムを構築しなければならない。
【エ】
組織の公式化が進み官僚制の逆機能が顕在化した段階では、公式の権限に依拠した規則や手続きをより詳細に設計しなければならない。
【オ】
単一製品・単一機能で創業した小規模企業が、経営資源を有効に活用するために垂直統合戦略を採用した場合、集権的な機能別組織へ移行する必要がある。
解答・解説
正解:エ
ア:適切。公式化段階では、経営者は次第に業務的決定から離れ、規則や手続きを整備し官僚制的な組織構造を構築する必要があるため、適切です。
イ:適切。起業者段階では、資源獲得と成長が重視されるため、適切です。
ウ:適切。共同体段階の説明であり、適切です。。
エ:不適切。 官僚制の逆機能が顕在化した段階では、規則や手続きによる弊害を打ち破っていく必要があるため、不適切です。
オ:適切。単一製品・単一機能の企業が垂直統合戦略を採用した場合、事業部制組織ではメリットが少なく、集権的な機能別組織のほうが適しているため、適切です。
【過去問】平成28年度 第14問(官僚制組織)
問題
Q.官僚制の逆機能といわれる現象に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
【ア】
革新的な計画に抵抗するために、日常のルーティン対応を探し求める、グレシャムの法則。
【イ】
規則や手続きそのものを絶対視するような態度が、杓子定規な画一的対応を生み出す、形式主義。
【ウ】
組織全体の利益よりも、自分が所属する部局の利益を優先する、セクショナリズム。
【エ】
膨大な手続きと書類作成に煩わされる、繁文縟礼。
【オ】
本来は手段にすぎない規則や手続きが目的に転じてしまう、目的置換。
解答・解説
正解:ア
ア:不適切。計画のグレシャムの法則とは、トップマネジメントやミドルマネジメントが目先の現場対応(=定型的な意思決定)に追われ、長期的な戦略(=非定型的な意思決定)を後回しになってしまうことをいいます。これは官僚制の逆機能とは関係ないため、不適切です。
イ:適切。選択肢の通りです。
ウ:適切。選択肢の通りです。
エ:適切。選択肢の通りです。
オ:適切。選択肢の通りです。
【過去問】令和5年度 第15問(組織のコンティンジェンシー理論)
問題
Q.T. バーンズと G. M. ストーカーは、外部環境の安定性の程度と組織内部の管理システムの関係性を検討し、「機械的管理システム」と「有機的管理システム」という2つの管理システムのモデルを提唱した。
これらのモデルの対比に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【ア】
機械的管理システムでは、有機的管理システムよりも上司への服従が強調される。
【イ】
機械的管理システムでは、有機的管理システムよりも水平的なコミュニケーションによる助言や相談がよくなされる。
【ウ】
有機的管理システムでは、機械的管理システムよりも個々のタスクは抽象的な性質を帯びている。
【エ】
有機的管理システムでは、機械的管理システムよりもその組織に特有な知識やスキルが重要視される。
【オ】
有機的管理システムでは、機械的管理システムよりも役割に関する責任が詳細に定められる。
解答・解説
正解:ア
ア:適切。機械的管理システムは、権限集権的なシステムであり、上司への服従が強調されやすくなるため、適切です。
イ:不適切。有機的管理システムのほうが、水平的なコミュニケーションが多くなるため、不適切です。
ウ:不適切。機械的管理システムのほうが、権限集権的なシステムであり、各タスクは全体目標との関係が遠くなります。そのため、個々のタスクの抽象度が高くなる、不適切です。
エ:不適切。その組織に特有な知識やスキルが重要視されるのは、機械的管理システムであるため、不適切です。
オ:不適切。機械的管理システムのほうが役割に関する責任が詳細に定められるため、不適切です。
【過去問】令和2年度 第16問(組織のコンティンジェンシー理論)
問題
Q.T.バーンズとG.M.ストーカーは、外部環境の不確実性がそれに適した組織内部の管理システムに影響を与えることを明らかにした。彼らは「機械的管理システム(mechanistic management system)」と「有機的管理システム(organic managementsystem)」という 2 つのモデルを提唱した。
これらのモデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
【ア】
不確実性が高い環境下では、階層トップへの知識が集中し、階層構造を強化する有機的管理システムが有効である。
【イ】
不確実性が高い環境下では、各タスクと全体状況や技術との関係が希薄な有機的管理システムが有効である。
【ウ】
不確実性が高い環境下では、タスクそのものや優れた仕事をしようとすることへのコミットメントが強い有機的管理システムが有効である。
【エ】
不確実性が低い環境下では、横断的相互作用を通じたタスク間の調整を重視する機械的管理システムが有効である。
【オ】
不確実性が低い環境下では、上司の指示や命令に支配された職務よりも、スタッフによる助言的内容のコミュニケーションが重視される機械的管理システムが有効である。
解答・解説
正解:ウ
ア:不適切。階層トップへの知識が集中し、階層構造を強化するのは機械的管理システムであるため、不適切です。
イ:不適切。有機的管理システムは、機械的管理システムよりも各タスクの具体性が高いため、不適切です。
ウ:適切。選択肢の通りです。
エ:不適切。横断的相互作用を通じたタスク間の調整を重視するのは有機的管理システムであるため、不適切です。
オ:不適切。不確実性が低い環境下では、有機的管理システムのほうが適しているため、不適切です。
【過去問】令和6年度 第14問(情報処理モデル)
問題
Q.J.ガルブレイスによれば、組織デザインの諸方策は、情報処理の必要性と情報処理能力の観点から評価できる。組織デザインの方策に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【ア】
横断的な関係の創出は、情報処理能力を増大させる。
【イ】
自己完結的職務の創出は、情報処理の必要性を増大させる。
【ウ】
垂直的な情報システムへの投資は、情報処理能力を低減させる。
【エ】
スラック資源の創出は、情報処理の必要性を増大させる。
解答・解説
正解:ア
ア:適切。水平的(横断的)関係の確立は、情報処理能力を向上させるため、適切です。
イ:不適切。自己完結的職務にすることは、情報処理量を軽減させる(必要性を減らす)ため、不適切です。
ウ:不適切。垂直的な情報システムへの投資は、情報処理能力を向上させるため、不適切です。
エ:不適切。組織スラックの保有は、情報処理量を軽減させる(必要性を減らす)ため、不適切です。
【過去問】平成27年度 第12問(情報処理モデル)
問題
Q.組織を情報処理システムとしてみた場合、組織デザインの手段は、情報処理の必要性と情報処理能力の観点から評価できる。組織デザインに関する記述として、最も適切なものはどれか。
【ア】
横断的組織の導入は、情報処理の必要性を高くするとともに、組織の情報処理能力を高くする。
【イ】
階層組織は、情報処理の必要性を高くするとともに、組織の情報処理能力を高くする。
【ウ】
規則の使用は、情報処理の必要性を減らすが、組織の情報処理能力を低くする。
【エ】
自己完結的組織は、情報処理の必要性を高くするとともに、組織の情報処理能力を高くする。
【オ】
垂直的情報処理システムの導入は、情報処理の必要性を高くするが、組織の情報処理能力を低くする。
解答・解説
正解:ア
ア:適切。水平的(横断的)関係の確立は、情報処理能力を向上させるため、適切です。
イ:不適切。組織の情報処理能力を高くするのは、横断型組織(プロジェクトチームなど)であるため、不適切です。
ウ:不適切。規則の私用は、情報処理の判断基準を示して情報処理能力を向上させるため、不適切です。
エ:不適切。自己完結的組織は、情報処理量を軽減させる(必要性を減らす)ため、不適切です。
オ:不適切。垂直的情報処理システムの導入は、組織の情報処理能力を高くするため、不適切です。
【過去問】平成27年度 第19問(組織スラック)
問題
Q.組織スラックに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【ア】
組織スラックは、イノベーションを遂行するための資源となりうる。
【イ】
組織スラックは、緊急事態に対応するための余裕資源として、組織の安定に寄与する。
【ウ】
組織スラックは、新規行動案の探索をリスク回避的にする傾向にある。
【エ】
組織スラックは、複数の利害関係者の組織に対する要求を調整する機能を持つ。
【オ】
組織スラックは、利害関係者が組織に対して求める要求が、満足水準に基づくことから生じる傾向にある。
解答・解説
正解:ウ
ア:適切。選択肢の通りです。
イ:適切。選択肢の通りです。
ウ:不適切。組織スラックがある場合、新規行動案の探索をリスク選好的になるため、不適切です。
エ:適切。選択肢の通りです。
オ:適切。選択肢の通りです。
【過去問】令和4年度 第19問(組織スラック)
問題
Q.組織均衡を維持するのに必要な資源と、実際にその組織が保有している資源の差を組織スラック(organizational slack)という。組織スラックに関する記述として、最も適切なものはどれか。
【ア】
好況時には、組織スラックを増やすことを通じて、組織参加者の満足水準が上昇することを抑制できる。
【イ】
組織スラックが存在しない場合、革新案を探索する際にリスク志向的になる。
【ウ】
組織スラックが存在すると、部門間のコンフリクトが激化する。
【エ】
組織スラックは、組織革新を遂行するための資源とはならないが、環境変化の影響を吸収するバッファーとしての役割を持つ。
【オ】
不況期には、組織スラックを組織参加者に放出することによって、短期的に参加者の満足水準を低下させることができる。
解答・解説
正解:ア
ア:適切。好況時には、組織スラックが増加しますが、イノベーションや企業変革の調整弁的な機能となることを主張することで、組織参加者の満足水準が上昇することを抑制できるため、適切です。
イ:不適切。組織スラックが革新案を探索する際にリスク志向的になるため、不適切です。
ウ:不適切。組織スラックが多く存在すると、コンフリクトが発生しにくくなるため、不適切です。
エ:不適切。組織スラックは、組織革新を遂行するための資源となりうるため、不適切です。
オ:不適切。不況期には、組織スラックを組織参加者に放出することによって、短期的に参加者の満足水準の低下を抑制させることができるため、不適切です。
今回のおさらい
今回は「組織のライフサイクル、官僚制組織、組織のコンティンジェンシー理論」を勉強しました。
組織のライフサイクル、組織のコンティンジェンシー理論のポイントを理解しておきましょう。
組織のライフサイクル、官僚制組織、組織のコンティンジェンシー理論
- 組織は成長段階に応じて「起業者段階」→「共同体段階」→「公式化段階」→「精巧化段階」がある。公式化段階では、官僚制の逆機能を打破することが重要である。
- 官僚制組織が行き過ぎると「官僚制の逆機能」が生じる。官僚制の逆機能の主なものに「形式主義」「目的の置き換え」「繁文縟礼」「セクショナリズム」がある。
- 組織のコンティンジェンシー理論とは「外部環境の状況に応じて、望ましい組織の形態は異なる」という理論。安定的な環境、大量生産方式では「機械的システム」、不安定な環境、個別生産方式では「有機的システム」が望まれる。また、不確実性が高い環境では「分化、統合の程度ともに高くなる」ことが必要である。
中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。
できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。
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