企業経営理論【28】集団における組織

1回「20分」で、中小企業診断士1次試験合格を支援する「合格ドリル」です。

今回は「集団における組織」です。インプットしたら、過去問にチャンレジしましょう。

出題範囲との関係

【経営戦略論】

【組織論】

・経営組織の形態と構造
経営組織の運営
・人的資源管理
・労働関連法規

【マーケティング】

今回の学習キーワード

  • 集団の凝集性、グループシンク(集団浅慮・集団思考)、グループシフト、リスキーシフト、コーシャスシフト
  • コンフリクト
目次

グループダイナミクス(職場集団の行動様式)

グループダイナミクスとは、「集団構造の中で発生する力学」のことをいいます。

集団の力学が発生すると、個人や普通の組織では考えにくい意思決定が発生することがあります。

集団の凝集性

集団の凝集性とは「集団がメンバーを引きつけて、集団の一員となるように動機づけする度合い」のことをいいます。

集団の凝集性が高いほど、結束力が高くなります。

その結果、個人や一般的な組織には見られない固有の意思決定が発生するようになります。

高い集団凝集性と業績の関係

  • 集団凝集性が高い組織が「高い業績目標」を持つと、素晴らしい成果が期待できる
  • 集団凝集性が高い組織が「低い業績目標」を持つと、業績は大きく落ち込む

集団の凝集性が高い組織ほど、組織への同調圧力が大きくなります

集団の凝集性が高いと、少数意見を持つ人に多数派の意見に合わせることを暗黙的に強制する圧力が高まります。

また、メンバーには組織文化に同調することを強要します。逸脱者には、ある一定時期までは同調を強いますが、無理だと分かると一転、仲間はずれの扱いをします。

加えて、帰属集団の威信が高い、代替的選択肢(他の集団への帰属)が無いときは、集団への目標の一体化の度合いが高くなり、集団の目標を個人の目標として認識しやすくなります。

グループシンク(集団浅慮・集団思考)

グループシンク(集団浅慮)とは、「集団で意思決定を行うと、個人よりも短絡的に意思決定がなされてしまう現象」をいいます。

グループシンクの特徴には、(1)自分達の能力を過大評価したり、(2)自分達は正しいという独自の価値観を持つ、(3)外部の人物や集団に切り型の判断を行う、(4)自分達に都合が悪い情報を過小評価するようになるなどがあります。

グループシンク(集団浅慮)に陥りやすい要因

  • 集団の凝集性が高い
  • 強力なリーダーシップを持つ支配的なリーダーが存在する
  • 時間的な制約がある
  • 閉鎖的な環境である
  • 謝った判断は許されないという外部からの強い圧力がある

グループシンク(集団浅慮)を回避するには、議論に批判する役割の人を設置したり、外部の意見を取り入れることで、短絡的な決定にならないようにすることが必要です。

グループシフト

グループシフトとは、「集団の意思決定が、個人よりも極端な判断をしてしまうこと」をいいます。

個人よりも集団のほうが、よりリスクの高い意思決定をすることを「リスキーシフトより保守的な意思決定をすることを「コーシャスシフト」といいます。

コンフリクト

コンフリクトとは、「複数の個人または組織間で発生する対立的・敵対的な関係」のことをいいます。

部門間・エリア間などにおけるコンフリクトを「水平的コンフリクト」、上司と部下の意見対立やコミュニケーションロスで生じるコンフリクトを「垂直的コンフリクト」と呼びます。

コンフリクトが発生する要因には、以下があります。

コンフリクトの発生原因

  • 経営資源の配分に差があるとき
  • 各組織が権力を求めるとき
  • 予算など限られた資源への依存度が大きいとき
  • 組織が相互依存関係にあるとき
  • タスクの不確実性が高いとき
  • 組織間でパワーが拮抗しているとき

コンフリクトの発生は避けられない一方で、コンフリクトを適切に管理できれば、生産性を高めたり、組織を活性化させることができます。

コンフリクトマネジメント(解消方法)

  • コンフリクト解消のための専門機関を設置する
  • 上位者が裁定する
  • 第三者のコンサルタントを仲介させ たり、人事交流を図ることで互いの理解を促進する
  • 官僚制化を進める(集団のルールを公式化して、軋轢をなくす)
  • ホイッスルブロワー(内部告発者)を排除せず、将来的な問題解決のためにも、その役割や波及効果を評価する

シュミットは、自らの利益にこだわる「自己主張性」と、他者の利害に関心を払う「協力性」の二次元から、コンフリクト対応モデルを提唱しています。

コンフリクト対応モデル(シュミット)

  • 競争 :相手を打ち負かす
  • 和解 :自らの利得を捨て、相手に従う
  • 回避 :お互いの利得が表面化するのを避ける
  • 妥協 :適当なところで折り合いをつける
  • 協力 :お互いの利得を最大化するように働きかける

【過去問】令和5年度 第19問(集団の凝集性)

問題

Q.集団の中にいる人間の意思決定や行動は集団から影響を受ける。集団の機能と集団内の人間行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
「凝集性」が高い集団では、集団内の規範と組織全体の業績目標とが一致するため、集団内の個人の生産性が高まりやすい。

【イ】
「グループシフト」とは、集団のメンバーが個人として当初有していた極端な態度や意見が、集団で討議した結果、より中立的な方向に収束する現象を指す。

【ウ】
「集団圧力」を受けやすい状況下でも、正しい答えが明白な課題に取り組む場合は、個人が多数派の意見に同調して誤った答えを選択することはない。

【エ】
全体の和を重んじる集団では、意思決定に際して多数派の意見だけではなく少数派からの異論も奨励する「グループシンク」が促進されやすい。

【オ】
人が集団の中で働くときに単独で働くときほど努力しない「社会的手抜き」という現象は、個人の貢献と集団の成果との関係が曖昧な場合に生じやすい。

解答・解説

正解:オ

ア:不適切。集団内の規範と組織全体の業績目標とが一致するとは限らないため、不適切です。

イ:不適切。グループシフトは「集団の意思決定が、個人よりも極端な判断をしてしまうこと」であるため、不適切です。

ウ:不適切。集団圧力を受けやすい(=集団凝集性が高い)と、個人は圧力を恐れて、多数派の意見に同調して謝った答えを選択する可能性があるため、不適切です。

エ:不適切。グループシンクとは、「集団で意思決定を行うと、個人での決定よりも短絡的に決定がなされてしまう現象」であるため、不適切です。

オ:適切。社会的手抜きとは、人が集団の中で働くときに単独で働くときほど努力しないという現象をいいます。個人の貢献と集団の成果が曖昧な場合に生じやすいため、適切です。

【過去問】令和3年度 第18問(集団の凝集性)

問題

Q.I.L.ジャニス(I. L. Janis)が提唱した集団思考(groupthink)の先行条件と兆候に関する記述として、最も不適切なものはどれか

【ア】
誤った判断を下すことは許されないというような外部からの強い圧力に集団がさらされる場合、集団思考が起きやすい。

【イ】
機密情報を扱う場合のように集団のメンバーが限定されると、その集団は孤立しやすくなるため、現実に即さない議論が促進されやすい。

【ウ】
集団思考の兆候として、自分たちの集団の能力を過小評価し、集団における意思決定では極端なリスクを避けるようになる。

【エ】
集団思考の兆候として、集団外部の人物や集団に対して紋切り型の判断を行うようになる。

【オ】
集団思考の兆候として、集団内の意思決定を正当化するための理屈づけを行い、自分たちにとって都合の悪い情報を過小評価するようになる。

解答・解説

正解:ウ

ア:適切。謝った判断は許されないという外部からの強い圧力があるときに、グループシンクが生じやすくなるため、適切です。

イ:適切。閉鎖的な組織では、グループシンクが生じやすくなるため、適切です。

ウ:不適切。グループシンクの特徴として、自分の集団の能力を過大評価するになるため、不適切です。

エ:適切。グループシンクの特徴として、外部の人物や集団に紋切り型の判断を行うようになるため、適切です。

オ:適切。グループシンクの特徴として、自分たちにとって都合が悪い情報を過小評価するようになるため、適切です。

【過去問】令和元年度 第15問(コンフリクト)

問題

Q.コンフリクトは、意思決定の標準メカニズムの機能不全を意味する。組織における部門間コンフリクトの原因、それへの対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
組織内のスラックが豊富に存在すると、部門間の目標の独立性が減少し、部門間コンフリクトが発生しやすくなる。

【イ】
組織内の部門間コンフリクトは、共同意思決定の必要性が高ければ高いほど、また予算など限られた資源への依存度が大きければ大きいほど、発生する可能性が高まる。

【ウ】
命令の一元性が確保されていると、部門間の目標や知覚の分化が進むため、部門間コンフリクトが起きる可能性は低下する。

【エ】
目標が共有されている部門間でコンフリクトが生じた場合、その基準を満たす解決策を探索するために、政治的工作やバーゲニングが使用される可能性が高くなる。

解答・解説

正解:イ

ア:不適切。組織スラックが存在すると、複数の利害関係者の調整が行えるためコンフリクトが発生しにくくなります。そのため不適切です。

イ:適切。コンフリクトは、組織が相互依存関係にあるとき、予算など限られた資源への依存度が大きいときに生じやすいため、適切です。

ウ:不適切。命令の一元性が確保されていると、部門間の目標や知覚の「統合」が進むため、不適切です。

エ:不適切。目標が共有されているため、お互いの利潤が大きくなる点を探るため、不適切です。

【過去問】令和3年度 第19問(コンフリクト)

問題

Q.J.G.マーチ(J. G. March)とH.A.サイモン(H. A. Simon)は、コンフリクトを標準的意思決定メカニズムの機能不全としてとらえた。
組織におけるコンフリクトに関する記述として、最も適切なものはどれか。

【ア】 
意思決定に必要な情報の入手先が多様になると、組織の参加者間で認識の差異は小さくなるので、個人間コンフリクトは少なくなる。

【イ】
組織全体の目標の操作性が低く、曖昧さが増すと、部門目標間の差異が許容される程度が高くなるので、部門間コンフリクトは少なくなる。

【ウ】
組織内にスラックが多く存在すると、部門間で共同意思決定の必要性が低下するので、コンフリクトは発生しにくくなる。

【エ】
部門間コンフリクトが発生した場合、政治的もしくは交渉による解決策を見いだすことが、コンフリクトの原因の解消に有効である。

解答・解説

正解:ウ

ア:不適切。意思決定に必要な情報の入手先が多様になると、組織の参加者間で認識の差異は大きくなるため、不適切です。

イ:不適切。部門目標間の差異が許容される程度が高くなると、部門間コンフリクトは大きくなるため、不適切です。

ウ:適切。組織スラックが存在すると、部門間の調整がなされるため、コンフリクトは発生しにくくなります。そのため、適切です。

エ:不適切。政治的もしくは交渉だけが解決策ではないため、不適切です。

今日のおさらい

今回は「集団における組織」を勉強しました。

集団の凝集性による意思決定、コンフリクトの発生要因などが出題されているため、ポイントを理解しておきましょう。

集団における組織

  1. 集団の凝集性とは「集団の一員となるように動機づけする度合い」のこと。集団の凝集性が高いほど、結束力が高まる反面、個人や一般的な組織には見られない固有の意思決定が発生する。
  2. グループシンク(集団浅慮)とは「集団で意思決定を行うと、個人よりも短絡的に意思決定がなされてしまう現象」のこと。リスクの高い意思決定をすることを「リスキーシフト」、保守的な意思決定をすることを「コーシャスシフト」という。
  3. コンフリクトとは「複数の個人または組織間で発生する対立的・敵対的な関係」のこと。コンフリクトを適切に管理できれば、生産性を高めたり、組織を活性化させることができる。

中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。

できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。

この記事に満足頂いた方は、ぜひTwitterのフォローをお願いします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中小企業診断士(令和2年度合格)

令和元年度、1次試験合格(通信講座)
その年の2次試験はあえなく不合格。
翌年は3ヶ月の完全独学で2次試験に合格。

コメント

コメントする

目次