事例I~Ⅲの点数が思うように伸びなくて…
それは大変ですね…
自信をもって解答したのに、題意とずれることがあるんです
なるほど。ちなみに「設問レイヤー」は意識していますか?
それは何ですか?
経営戦略の設問か、オペレーションの設問かを理解して解答しないと、点数は伸びないです。
そうなんですか。
詳しく教えてください!
この記事では、中小企業診断士の2次試験(事例I~Ⅲ)における「設問レイヤー」「設問タイプ」を理解する重要性について解説していきます。
中小企業診断士2次試験の勉強をしている方に、1つでも参考になれば幸いです。
この記事を読んでほしい人
- 中小企業診断士の2次試験の事例I~Ⅲで思うように点数が伸びない方
- 今年、中小企業診断士の2次試験に絶対受かりたい方
- 中小企業診断士の1次試験を勉強していて、2次試験の合格のヒントを知りたい方
今回の記事でわかること
- 2次試験は紙面上の企業診断。企業診断のパターンを理解することが大事
- 企業診断のパターンを意識した「設問レイヤー」「設問タイプ」を理解すると点数が安定する
- 各設問がどの設問レイヤー、設問タイプに該当するかを見極めて、題意から外れた解答を防ごう
2次試験は紙面上の企業診断。企業診断のパターンを理解することが大事
中小企業診断士の2次試験(筆記試験)は、以下の4事例を各80分で企業診断する筆記試験です。
中小企業診断士2次試験の科目
- 事例 I(組織・人事)
- 事例 II(マーケティング・流通)
- 事例 III(生産・技術)
- 事例 IV(財務・会計)
中小企業診断士の2次試験の受験資格は、1次試験に合格した年、その翌年の2回しかありません。
また、2次試験の模範解答は公表されていないため、どのように勉強したらよいか悩む方が多いと思います。
ここで意識してほしいのは、2次試験は「1次試験の知識を使った紙面上の企業診断である」ということです。
実は、2次試験合格後に実施される「実務補習」の企業診断には、決まったパターンがあります。
実務補習における企業診断パターン
- 【現状分析】経営者へのヒアリング、SWOT分析を実施する
- 【方向性の提示】経営者の理念やクロスSWOTをもとに、理想の姿・戦略の方向性を提示する
- 【施策の提示】分野ごとに「現状→課題→対応策」で整理し、対応策を提示する
上記を図解すると、以下のような形になります。
2次試験は、ヒアリングではなく、与件文に変更されていると考えるとわかりやすいです。
そして、2次試験でも上記の視点で問われることが多いです。
具体的には、最初の設問で「現状分析」を実施し、最後の設問で「方向性を提示」するパターンがよく見られます。その間の設問では、分野ごとに「現状→課題→対応策」などが問われやすいです。
ときどき、事例 I(組織・人事)で「人的資源管理の設問がほとんどなかった」「一生懸命、人事施策を覚えたのに意味がなかった」という受験生の嘆きを聞くことがあります。
ただ、「人的資源管理」は個別施策の要素に過ぎす、設問作成者からすると「組織・人事がテーマと言っても、現状分析や方向性の提示もあるよ」と思っているはずです(個人の推測です)。
例えば、平成29年度の事例 Iは、以下のような立て付けになります。
Q1~Q3は過去の成功要因、Q4はビジョンの達成への障害を、それぞれ経営戦略のレイヤーから問われています。
そして、Q5で、組織的課題が問われていますが、人事施策は求められていない可能性が高いです。
上記の状況で点数を安定させるには、設問が「経営戦略」「組織構造」「人事施策」のどのレイヤーかを抑えて、題意から外れないようにしておくことが重要です。
では、事例I~Ⅲごとに、どのように設問レイヤーを理解しておけばいいのでしょうか?
独学で勉強した私が受験生時代に使っていた設問レイヤーを公開します。役立ちそうな部分を取り入れて頂ければと思います。
【事例I】受験生時代に使っていた「設問レイヤー」「設問タイプ」
事例 I(組織・人事)は、以下の設問レイヤーを意識していました。
(繰り返しですが、私が受験生時代に使っていた設問レイヤーなので、ご自身でブラッシュアップしてください。2次試験の合格には、自分なりの解答プロセスを確立することが重要です)
【事例I】設問レイヤー
- 経営戦略
- 設問内容が「事業展開」「事業構造」「経営体制」「戦略的メリット」など
- 組織構造
- 設問内容が「組織形態」「組織体制」「部門間連係」「コンフリクト」など
- 組織活性化
- 設問内容が「組織文化の改革」「経営理念の浸透」「高次学習」「人材のダイバーシティ」など
- 人的資源管理
- 設問内容が「採用・配置・育成・評価・報酬」など
設問文を読んで、設問がどのレイヤーに該当するかの番号を書くことで、どのような1次知識が求められるかを連想できるようにしていました。
設問レイヤーがわかると、組織構造の設問に対して、人的資源管理のキーワードを解答しても点数が伸びないことがわかります。
ちなみに、「組織的課題」と問われた場合は、「組織構造」「組織活性化」「人的資源管理」の3つを意識していました。
事例Iの設問タイプ
事例Iは、設問レイヤーだけでなく、設問タイプも意識すると、点数が安定しやすくなります。
設問タイプとは「その設問が何を聞いているのか」の観点から整理したものです。
【事例I】設問タイプ
- 情報整理
- 要因、強み・弱みなど「与件文の整理・要約」で対応する設問
- 期待効果
- 理由、目的、メリット・デメリット、課題など「与件文+1次知識」で対応する設問
- 助言
- 施策、留意点など「与件+1次知識」「施策+効果」で対応する設問
このように、設問タイプを意識することで、解答の方向性を明確にすることができます。
設問レイヤーと組み合わせることで、
・これまでの強み・弱みや要因などが問われている場合は「経営戦略×情報整理」
・今後の方向性が問われている場合は「経営戦略×助言」
・組織形態を変更した背景が問われている場合は「組織構造×期待効果」
・人事施策が問われている場合は「人的資源管理×助言」
といった「どの設問レイヤーで、どのような解答をすべきか」が明確になります。
【事例Ⅱ】受験生時代に使っていた「設問レイヤー」
事例Ⅱ(マーケティング・流通)は、以下の設問レイヤーを意識していました。
【事例Ⅱ】設問レイヤー
- 現状分析(SWOT)
- 設問1の「強み」「弱み」「機会」「脅威」
- 経営方針
- 設問内容が「売上向上(客数×客単価)」「LTV向上(購買単価×購買頻度×継続購買期間)」など
- ターゲット+4P
- 設問が「誰をターゲットとするか」「4Pの施策(プロモーション、ISMなど)」など
- インターナル・マーケティング
- 設問内容が「サービス品質のバラツキ」「従業員満足度の向上」など
事例Ⅱは、最初にSWOT分析を通じて、現状を整理させる流れが一般的です。
その後、売上向上やLTV向上の要素をKPIとして、「ターゲット×4P×期待効果」の具体的な方策を記述させるパターンが多いです。
例えば、「〇〇をターゲットに、△△を実施することで、客単価の向上を図る」などのイメージです。そのため、「経営方針」と「その達成手段(ターゲット×4P)」を意識していました。
また、サービス業も出題されるため、インターナル・マーケティングは別レイヤーとして整理していました。
ちなみに、事例Ⅱでは、設問タイプは意識していませんでした。
【事例Ⅲ】受験生時代に使っていた「設問レイヤー」「設問タイプ」
事例Ⅲ(生産・技術)は、以下の設問レイヤーを意識していました。
【事例Ⅲ】設問レイヤー
- 経営戦略
- 設問1の「強み」「弱み」「機会」「脅威」
- 最終設問の「今後の戦略」
- 生産管理(生産計画、生産統制)
- 設問内容が「生産管理上」「生産計画上」「生産面」「生産工程」「短納期」など
- 生産性改善(作業標準化、情報共有)
- 設問が「生産性」「生産能力向上」「事前に整備しておくべき内容」「情報活用」など
事例Ⅲは基本ストーリーがほぼ決まっています。
それは「自社の強みがある一方で、生産管理面に問題が発生している。問題を改善した上で、強みと機会をもとに今後の方向性を描く」です。
上記にもとづいて、設問は以下の流れになることが多いです。
1:「強み・弱み」を整理させる
2:「現状の生産管理/生産性改善の問題点と課題、改善策」を答えさせる
3:「強みと機会から、今後の戦略方向性」を答えさせる。
上記の流れを意識して、設問レイヤーを組んでおくと、題意と解答のズレを防ぐことができます。
事例Ⅲの設問タイプ
事例Ⅲは、設問レイヤーだけでなく、設問タイプも意識すると、点数が安定しやすくなります。
設問タイプとは「その設問が何を聞いているのか」の観点から整理したものです。
【事例I】設問タイプ
- 情報整理
- SWOT分析、特性、理由など「与件文の整理・要約」で対応する設問
- 期待効果
- 理由、目的、メリット・デメリット、課題など「与件文+1次知識」で対応する設問
- 助言
- 問題点と改善策、課題と対応策、今後の方策・戦略など「与件+1次知識」で対応する設問
このように、設問タイプを意識することで、解答の方向性を明確にすることができます。
設問レイヤーと組み合わせることで、
・これまでの強み・弱みや要因などが問われている場合は「経営戦略×情報整理」
・今後の方向性が問われている場合は「経営戦略×助言」
・現状の生産管理の課題と対応策が問われている場合は「生産管理×助言」
といった「どの設問レイヤーで、どのような解答をすべきか」が明確になります。
まとめ
本記事では、「事例I~Ⅲは「設問レイヤー」「設問タイプ」を意識することで、点数が安定しやすくなる」として、私が受験生時代に使っていたフレームを紹介しました。
事例I~Ⅲは「設問レイヤー」「設問タイプ」を意識することで、点数が安定しやすくなる
- 2次試験は紙面上の企業診断。企業診断のパターンを理解することが大事
- 企業診断のパターンを意識した「設問レイヤー」「設問タイプ」を理解すると点数が安定化する
- 各設問がどの設問レイヤー、設問タイプに該当するかを見極めて、題意から外れた解答を防ごう
中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。
ぜひ、できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。
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