事例I~Ⅲは「設問レイヤー」「設問タイプ」を意識することで、点数が安定しやすくなる

40代お疲れ社員

事例I~Ⅲの点数が思うように伸びなくて…

コンシェルジュ先輩

それは大変ですね…

40代お疲れ社員

自信をもって解答したのに、題意とずれることがあるんです

コンシェルジュ先輩

なるほど。ちなみに「設問レイヤー」は意識していますか?

40代お疲れ社員

それは何ですか?

コンシェルジュ先輩

経営戦略の設問か、オペレーションの設問かを理解して解答しないと、点数は伸びないです。

40代お疲れ社員

そうなんですか。
詳しく教えてください!

この記事では、中小企業診断士の2次試験(事例I~Ⅲ)における「設問レイヤー」「設問タイプ」を理解する重要性について解説していきます。

中小企業診断士2次試験の勉強をしている方に、1つでも参考になれば幸いです。

この記事を読んでほしい人

  • 中小企業診断士の2次試験の事例I~Ⅲで思うように点数が伸びない方
  • 今年、中小企業診断士の2次試験に絶対受かりたい方
  • 中小企業診断士の1次試験を勉強していて、2次試験の合格のヒントを知りたい方

今回の記事でわかること

  • 2次試験は紙面上の企業診断。企業診断のパターンを理解することが大事
  • 企業診断のパターンを意識した「設問レイヤー」「設問タイプ」を理解すると点数が安定する
  • 各設問がどの設問レイヤー、設問タイプに該当するかを見極めて、題意から外れた解答を防ごう
目次

2次試験は紙面上の企業診断。企業診断のパターンを理解することが大事

中小企業診断士の2次試験(筆記試験)は、以下の4事例を各80分で企業診断する筆記試験です。

中小企業診断士2次試験の科目

  • 事例 I(組織・人事)
  • 事例 II(マーケティング・流通)
  • 事例 III(生産・技術)
  • 事例 IV(財務・会計)

中小企業診断士の2次試験の受験資格は、1次試験に合格した年、その翌年の2回しかありません。

また、2次試験の模範解答は公表されていないため、どのように勉強したらよいか悩む方が多いと思います。

ここで意識してほしいのは、2次試験は「1次試験の知識を使った紙面上の企業診断である」ということです。

実は、2次試験合格後に実施される「実務補習」の企業診断には、決まったパターンがあります。

実務補習における企業診断パターン

  1. 【現状分析】経営者へのヒアリング、SWOT分析を実施する
  2. 【方向性の提示】経営者の理念やクロスSWOTをもとに、理想の姿・戦略の方向性を提示する
  3. 【施策の提示】分野ごとに「現状→課題→対応策」で整理し、対応策を提示する

上記を図解すると、以下のような形になります。

2次試験は、ヒアリングではなく、与件文に変更されていると考えるとわかりやすいです。

そして、2次試験でも上記の視点で問われることが多いです。

具体的には、最初の設問で「現状分析」を実施し、最後の設問で「方向性を提示」するパターンがよく見られます。その間の設問では、分野ごとに「現状→課題→対応策」などが問われやすいです。

ときどき、事例 I(組織・人事)で「人的資源管理の設問がほとんどなかった」「一生懸命、人事施策を覚えたのに意味がなかった」という受験生の嘆きを聞くことがあります。

ただ、「人的資源管理」は個別施策の要素に過ぎす、設問作成者からすると「組織・人事がテーマと言っても、現状分析や方向性の提示もあるよ」と思っているはずです(個人の推測です)。

例えば、平成29年度の事例 Iは、以下のような立て付けになります。

Q1~Q3は過去の成功要因、Q4はビジョンの達成への障害を、それぞれ経営戦略のレイヤーから問われています。

そして、Q5で、組織的課題が問われていますが、人事施策は求められていない可能性が高いです。

上記の状況で点数を安定させるには、設問が「経営戦略」「組織構造」「人事施策」のどのレイヤーかを抑えて、題意から外れないようにしておくことが重要です。

では、事例I~Ⅲごとに、どのように設問レイヤーを理解しておけばいいのでしょうか?

独学で勉強した私が受験生時代に使っていた設問レイヤーを公開します。役立ちそうな部分を取り入れて頂ければと思います。

【事例I】受験生時代に使っていた「設問レイヤー」「設問タイプ」

事例 I(組織・人事)は、以下の設問レイヤーを意識していました。

(繰り返しですが、私が受験生時代に使っていた設問レイヤーなので、ご自身でブラッシュアップしてください。2次試験の合格には、自分なりの解答プロセスを確立することが重要です)

【事例I】設問レイヤー

  1. 経営戦略
    • 設問内容が「事業展開」「事業構造」「経営体制」「戦略的メリット」など
  2. 組織構造
    • 設問内容が「組織形態」「組織体制」「部門間連係」「コンフリクト」など
  3. 組織活性化
    • 設問内容が「組織文化の改革」「経営理念の浸透」「高次学習」「人材のダイバーシティ」など
  4. 人的資源管理
    • 設問内容が「採用・配置・育成・評価・報酬」など

設問文を読んで、設問がどのレイヤーに該当するかの番号を書くことで、どのような1次知識が求められるかを連想できるようにしていました。

設問レイヤーがわかると、組織構造の設問に対して、人的資源管理のキーワードを解答しても点数が伸びないことがわかります。

ちなみに、「組織的課題」と問われた場合は、「組織構造」「組織活性化」「人的資源管理」の3つを意識していました。

事例Iの設問タイプ

事例Iは、設問レイヤーだけでなく、設問タイプも意識すると、点数が安定しやすくなります。

設問タイプとは「その設問が何を聞いているのか」の観点から整理したものです。

【事例I】設問タイプ

  1. 情報整理
    • 要因、強み・弱みなど「与件文の整理・要約」で対応する設問
  2. 期待効果
    • 理由、目的、メリット・デメリット、課題など「与件文+1次知識」で対応する設問
  3. 助言
    • 施策、留意点など「与件+1次知識」「施策+効果」で対応する設問

このように、設問タイプを意識することで、解答の方向性を明確にすることができます。

設問レイヤーと組み合わせることで、
・これまでの強み・弱みや要因などが問われている場合は「経営戦略×情報整理」
・今後の方向性が問われている場合は「経営戦略×助言」
・組織形態を変更した背景が問われている場合は「組織構造×期待効果」
・人事施策が問われている場合は「人的資源管理×助言」
といった「どの設問レイヤーで、どのような解答をすべきか」が明確になります。

【事例Ⅱ】受験生時代に使っていた「設問レイヤー」

事例Ⅱ(マーケティング・流通)は、以下の設問レイヤーを意識していました。

【事例Ⅱ】設問レイヤー

  1. 現状分析(SWOT)
    • 設問1の「強み」「弱み」「機会」「脅威」
  2. 経営方針
    • 設問内容が「売上向上(客数×客単価)」「LTV向上(購買単価×購買頻度×継続購買期間)」など
  3. ターゲット+4P
    • 設問が「誰をターゲットとするか」「4Pの施策(プロモーション、ISMなど)」など
  4. インターナル・マーケティング
    • 設問内容が「サービス品質のバラツキ」「従業員満足度の向上」など

事例Ⅱは、最初にSWOT分析を通じて、現状を整理させる流れが一般的です。

その後、売上向上やLTV向上の要素をKPIとして、「ターゲット×4P×期待効果」の具体的な方策を記述させるパターンが多いです。

例えば、「〇〇をターゲットに、△△を実施することで、客単価の向上を図る」などのイメージです。そのため、「経営方針」と「その達成手段(ターゲット×4P)」を意識していました。

また、サービス業も出題されるため、インターナル・マーケティングは別レイヤーとして整理していました。

ちなみに、事例Ⅱでは、設問タイプは意識していませんでした。

【事例Ⅲ】受験生時代に使っていた「設問レイヤー」「設問タイプ」

事例Ⅲ(生産・技術)は、以下の設問レイヤーを意識していました。

【事例Ⅲ】設問レイヤー

  1. 経営戦略
    • 設問1の「強み」「弱み」「機会」「脅威」
    • 最終設問の「今後の戦略」
  2. 生産管理(生産計画、生産統制)
    • 設問内容が「生産管理上」「生産計画上」「生産面」「生産工程」「短納期」など
  3. 生産性改善(作業標準化、情報共有)
    • 設問が「生産性」「生産能力向上」「事前に整備しておくべき内容」「情報活用」など

事例Ⅲは基本ストーリーがほぼ決まっています。

それは「自社の強みがある一方で、生産管理面に問題が発生している。問題を改善した上で、強みと機会をもとに今後の方向性を描く」です。

上記にもとづいて、設問は以下の流れになることが多いです。
1:「強み・弱み」を整理させる
2:「現状の生産管理/生産性改善の問題点と課題、改善策」を答えさせる
3:「強みと機会から、今後の戦略方向性」を答えさせる。
上記の流れを意識して、設問レイヤーを組んでおくと、題意と解答のズレを防ぐことができます。

事例Ⅲの設問タイプ

事例Ⅲは、設問レイヤーだけでなく、設問タイプも意識すると、点数が安定しやすくなります。

設問タイプとは「その設問が何を聞いているのか」の観点から整理したものです。

【事例I】設問タイプ

  1. 情報整理
    • SWOT分析、特性、理由など「与件文の整理・要約」で対応する設問
  2. 期待効果
    • 理由、目的、メリット・デメリット、課題など「与件文+1次知識」で対応する設問
  3. 助言
    • 問題点と改善策、課題と対応策、今後の方策・戦略など「与件+1次知識」で対応する設問

このように、設問タイプを意識することで、解答の方向性を明確にすることができます。

設問レイヤーと組み合わせることで、
・これまでの強み・弱みや要因などが問われている場合は「経営戦略×情報整理」
・今後の方向性が問われている場合は「経営戦略×助言」
・現状の生産管理の課題と対応策が問われている場合は「生産管理×助言」
といった「どの設問レイヤーで、どのような解答をすべきか」が明確になります。

まとめ

本記事では、「事例I~Ⅲは「設問レイヤー」「設問タイプ」を意識することで、点数が安定しやすくなる」として、私が受験生時代に使っていたフレームを紹介しました。

事例I~Ⅲは「設問レイヤー」「設問タイプ」を意識することで、点数が安定しやすくなる

  • 2次試験は紙面上の企業診断。企業診断のパターンを理解することが大事
  • 企業診断のパターンを意識した「設問レイヤー」「設問タイプ」を理解すると点数が安定化する
  • 各設問がどの設問レイヤー、設問タイプに該当するかを見極めて、題意から外れた解答を防ごう

中小企業診断士は難関資格ですが、正しく勉強すれば、1~2年で合格できます。

ぜひ、できるビジネスマンへの第一歩として、中小企業診断士の勉強を考えてみてください。

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この記事を書いた人

中小企業診断士(令和2年度合格)

令和元年度、1次試験合格(通信講座)
その年の2次試験はあえなく不合格。
翌年は3ヶ月の完全独学で2次試験に合格。

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